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- 作者: 小林紀晴
- 出版社/メーカー: エレファントパブリッシング
- 発売日: 2004/10
- メディア: 単行本
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長い長い旅行記ではなくかつて旅した、異国で生活したときのこと。あるいは書評や映画などに関する短い文章もあるので、彼の視点がどんなものなのか少しだけ知ることができました。
どれだけ美しい景色に出会っても、感動的な情景を目にしても写真という媒体を上手く使いこなすことのできない私は、頭の中に焼き付けたものにぴったりの言葉を探していくことでしか相手に伝えられないので、両方を持っている人がとてもうらやましいです。
僕が写真を撮るときに重要だと考えることは、それはあくまで僕の方法だが、言葉を探すようなことだ。テーマを探すことはその行為に近いことだと思っている。実際に僕はいつでも言葉を捜している。言葉を探すという行為は、まだ一度も誰にも言葉にされていない、なっていない目の前の現象みたいなものを、例えば空中に浮かんでいるようなものを、あるいは誰の目にも映っていないもの、あまりにバラバラすぎて一つになっていないもの、それらを自分が一つにすること、ぐいっと手のひらにつかみ取ることだと思っている。言ってみれば、それが写真にとってのテーマのような気がする。何を見るのかとか、何を撮るのかということはきっとそういうことだと思う。