『ダフト・パンク エレクトロマ』*3

これから見に行く予定の方へ。観賞前には是非とも腹八分目にしておいてください。
電子音をバリバリに使ったダンスミュージックが流れてくるのだろうなあと勝手に想像していたのですが、ほとんどが風景音で使われる曲も静かで穏やかなものばかり。科白がないために無音に近い状況も多く、耳に意識を向けていた分客席のどこかから聞こえる咀嚼音さえよく響いているように感じました。
ストーリーとしては機械が人間になりたいと願う、というある種普遍的なテーマを扱っていて、そこからロードムービー的要素も入って、無機と有機、人工と自然の対比がそこかしこにありました。予告編でも使われている真っ白な手術室の映像はアート要素ぷんぷんで面白くて、その他滑稽さをにじみださせるところや風景の美しさを映し出しているところもあったのですが、意外にもカタルシスを感じるようにもなっていました。表情のないあのロボットなのに、それまでの描写があったせいか背中で語ったり横顔がさみしげだったり、見ている側がなんだかコントロールされているかのよう。少し夢うつつになりながら、静か過ぎる空間は緊張と弛緩もまるめこんで世界を閉じました。ダフトパンクの音楽を期待して行ったら肩透かしをくらうかもしれませんが、まどろみながら見るのが好きな人にとってはたまらない作品かもしれません。