レストランへ行ったらピアノの生演奏。そんなに気取った場所でもないのに響く鍵盤の音は思いのほか大きくて、会話するのを阻んでいるかのようでした。その上「月光」が演奏されて、頭の中には『月光の夏』の断片が浮かんで勝手に生々しい血のシーンを捏造しはじめて、目の前にはどす黒さを思わせる赤さを交えたソースと肉、なんて陰惨な情景なのだろうかと客観的になりながらもここに赤ワインがなくて良かったとレモン水をぐいぐい飲み干しました。