レインレイン・ボウ (集英社文庫)

レインレイン・ボウ (集英社文庫)

上手いなあ、と感じる以上に直球で好みのものだったのでお手上げでした。思春期ものの青春群像劇に興味があって色々と読んでみようと思っているのですが、この作品はそれよりちょっと上、モラトリアムの要素を少し含みながらも25歳の女の子という、社会からするとまだ宙ぶらりんな状態である子たちが登場人物となっていて、一人ひとりに章と色が設けられている上に接点が高校の部活というところがこころにくいものでした。自分に重なるところもありながら、章ごとにさりげない謎が含まれていて、紐解いていっても誰かが不幸になることのない、優しい視点で描かれていました。女の子のキャラがそれぞれ立っていて、その中の一人が知っている子によく似ていて発言を読むたびに「そうそう」と頷いてしまいました。
こういうキーワードのつなげ方が割と好きなので、加納さんの他の作品も読みたいです。そして今、彼女の夫が貫井徳郎さんだと知って非常に驚きました。