アナログフィッシュ2007“TOUR is HARMONY”

実は一度行くのをあきらめていて、何度も何度も迷った末にやはり前回のAXの時と比べてみたいという気持ちが勝って、見たい人たちが一つもかぶらなかったらこっちを選ぼうと思っていたCRJのイベントライブ*1もsgt.とアベンジャーズが重なっていたのですっぱりと一つに絞ることにしました。どっちも行きたかったのは本音です。


開場してしばらくしてもフロアがゆるゆるだったのですが、開演するころには大分埋まってきて、前回よりもきちんと増えていたので一安心。ステージには左右対称にプロジェクターが備え付けられていて、後ろのスクリーンに映像が映し出されていました。
「Living in the City」から始まったこのライブ、最初からぎゅっと心を持っていかれてしまって、スクリーンには渋谷などの街の映像が切り替わりながら映し出されて、曲の延長線上にあるいくつもの景色まで見えそうでした。「Magic」はいつも同じ歌詞のところである一瞬の記憶がよみがえってきて、下岡さんの視点にぐらぐらさせられて少々不安定になっていたら佐々木さんの確信に満ちた力強い歌声に支えられて、このバランス、とても心地が良いなあと改めて感じることが多かったです。斉藤さんのドラムさばきにもやはりひきつけられてしまって、ひじを引きながら叩くところが好きなのだと今回のライブでわかりました。
SIM CITY」では途中曲が速くなるところでスクリーンに映し出される高速を走っているかのような車道の映像も早回しにされていて、ちょっとずれてはいましたが加速していく感じが曲の世界とも合っていて、ステージを見ていたら不思議な感覚になりました。そして生で聞くと一層わけがわからない気持ちになってしまう「公平なWorld」は、左右別の方向に回る大きなミラーボールが下りてきて会場がきらきらにくるまれてまるでタイムスリップしていくかのようで、自分だけが取り残されるかのような不安も覚えて、でも曲に入る前に下岡さんが絶望しないと言った声が耳に残っていて、鳥肌をおさえることができました。あの曲の世界は無機質なように思えてきちんと感情が存在していて、色々考えてしまった結果ミラーボールでかき混ぜられてしまったのかもしれません。
欲を言えばこの曲もこの曲も、というのがたくさんあって、特に「バタフライ」は前回AXで初めて聞いて気に入ってしまった曲だったので今度はきちんとわかった上で聞いてみたかったのですが、アンコールで披露された曲たちもそれぞれ素晴らしいものでした。「出かけた」に関してはよくわからない、というほどによくわからない状況に陥っていたのであまり思い出せません。
三人の絶妙なバランス、重なる声の心地良さ、異なる世界の曲たち、ひねくれていたりまっすぐだったり、それでも演奏している人たちは全開の笑顔、それなのにこんなに人が少なくて良いの?と前回のAXと同じことを感じましたが、フロア全体が本当に楽しそうになってみんなで揺れている「白黒ック」や「BGM」を見ていたら、じわじわとでも広まっていくものなのだなあと、次回のAXへと思いを馳せてしまいました。世界観としてひきつけられてしまうのは下岡さんの曲ですが、佐々木さんの曲によってぐらついた足元を引き寄せてもらえるので、どちらが良いということでもなく、その二人をにっこにこの笑顔と安定したリズムで支える斉藤さんがいるからこそ成立しているもので、妙に嬉しくなってライブが終わったら思わず走り出したくなってしまいました。