阿修羅ガール

阿修羅ガール

途中文字が大きくなるところがあって、単行本でこういう作品があるのは珍しいよねー、こういうのも出るようになったんだねー、と発刊当時に図書館から借りてきた子が見せてくれたのを思い出しましたが、その頃まるで本を読まなかったので、特にこれといった魅力も感じていなかったのでした。それから数年後、図書館に足を運ぶようになった私は背表紙を見て思い出して、読むことにしました。舞城さんの作品はちらりと以前読んだことがあったので、文体に対する耐性はそこそこ大丈夫なはず。
伊集院さんで言うところの、脳汁垂れ流しっぱなしの文章とでもいうのか、頭の中で考えていることがそのまま文字になっていて、テキストプレイを読んでいるかのようでした。それでもストーリーテラーである女の子はきちんと描写を重ねてくれるので展開は繋がっていって、女子高生としての言葉で内面と外面とが作り上げられていっていました。無茶苦茶だと投げ出すほどでもなく、頭の中をのぞいているようだったのであまり違和感もなかったです。本当に垂れ流しのように見える部分もあるしリズムが良いように作られているのだろうなあと感じる部分もありました。文字が大きくなっている箇所については、ああなるほど、と今さらながら納得。
二部、三部と世界だけではなくカラーも違っていたのですが、そうだとしても脳内活動をしていたら勝手に世界が変わってしまうことはよくあるので、気になりませんでした。二部がやかまし村からインスパイアされたものだと後ろに書いてあって、ちょっと笑ってしまいました。
文庫化もされているようですが、単行本の写真は佐内さん、ということで思わぬところで反応してしまいました。