アナログフィッシュ「エビス・リヴァーサイド・ハーモニー」

私にとってアナログの変遷はまだ浅くて、AXからクアトロ、そして今回のリキッド。どの箱が一番良いのだろうかと考えながら、電車に揺られて恵比寿を小走りに会場へと向かいました。

クアトロだとぎゅうぎゅうだったのですが、リキッドだと後ろの方では大分余裕があって、階段あたりも人がまばらな状態でどこでも割と見やすい状況でした。椅子に座ってのんびりしながら、もっと人が入っても良いぐらいなのになあ、と床が見える状態に少し残念な気持ちになりながら、それでもライブが始まってしまえば世界に飲み込まれてしまうので現実からは離れてしまっていました。


汗だくだくの佐々木さんと、いつでも飄々としている下岡さんと、トーク時にはマイクを持って立つ斉藤さん。それぞれ三人を見比べながら、斉藤さんのドラムの叩く姿に今回も目を奪われつつ、「Iwashi」という曲が好きだなあと思ったりしていて、ミニジョントポールコーナーの「夕暮れ」は鳥肌がずっと立ちっぱなしでした。あの曲の持つ世界観というか、引き込む、取り込む力というのはものすごくて、最初のコーラスから楽器が入って激しくなるところから、歌詞からにじみでる色や景色がたまらなくなってしまって、もっと近くで見ていたら立ち尽くしていたかもしれません。手をぎゅっと握って広がる曲の世界に引きずられすぎないようにしました。佐々木さんコーナーは割合安心して聞くことができて、「スピード」は盛り上がるなあ、なんてのんきなことを思っていたら、再び下岡さんの曲、「公平なWorld」。この人の目から見える景色、焦点の結び方を知りたいと再び感じてしまいました。以前聞いた時より音が多彩になっていて、歌詞も歌詞で切り取り方に鋭さややるせなさをにじませていて、ああ、ああ、と必死にステージを見つめていました。ちゃんと音源で聞いてみたいです。
アンコールはリクエスト形式で、いくつか候補があったものの中から佐々木さん「LOW」と下岡さん「ナイトライダー2」をそれぞれに。締めにナイトライダーは少し合わなかったかもしれませんが、近くにいた方の話を聞くとアンコールでリクエストに応えたの初めて見た、とのことなので珍しいものだったようです。客電がついて「What a Wonderful World」が流れてきて鳥肌が立ちかけて、この曲からリンクしていく世界のことに考えをめぐらせていたら、ダブルアンコール。最後は後ろから見ているのがほほえましくなるぐらい盛り上がった「BGM」でした。ステージの三人も、フロアのお客さんもみんな楽しそう。たっぷりと二時間ぐらい三人の世界を堪能できてご満悦。


再びAXになって、大丈夫だろうかという不安はたくさんあるのですが、あれだけ良い音楽を提供してくれる人たちなのだから、次のアルバムはもっと多くの人に受け入れられて、フロアがいっぱいになってくれれば良いな、と思うことにしました。なぜなら前回AXに行った時、ここでこんなに素晴らしい音が鳴らされているのに、どうしてもっと人がいないのだろうか、と見やすいフロアで悔しい気持ちにもなっていたぐらいですもの。ということで来年、どうなっているのか楽しみです。