中高時代の友人たちと誕生会。大学時代の子たちと会うと夢や目指すべきものについて考えさせられて上を向かせられるのに対し、彼女たちと会うと接待やら玉の輿など現実について直面させられて足元を見つめてしまう。そのどちらにも当てはまらない私はふわふわと視線をさまよわせて自分の指先を眺めることぐらいしかできなくて、興味深い話を聞きながら昔の姿とついつい重ね合わせてしまった。
指弾きだった彼女の手には宝石が輝いていた。偶然ショートケーキが二個、おめでたいことも二つ。結婚するという彼女の横顔はとてもきれいだった。