JAPAN CIRCUIT -vol.35-

芝居が思っていたよりも長かったので下北を散策する時間も新しい眼鏡を作る余裕もなく、雨の中渋谷の雑踏を小走りに抜けてAXへ。松尾さんにしてやられたおかげで頭の中が忙しくなっていて、眼鏡を鞄の中に入れたまま入場してしまいました。だからと言って前の方に行く元気もなく、中ごろでのんびり。客層がいつもと違っていて、DJのものを身に着けた人々がわんさかいて、トラウマになったらどうしようかとまで考えてしまいました。体調が優れない上に頭を色々と使ったため相当疲れていたようです。



いつもそうなのかわかりませんが、編集長が挨拶をして出演順を発表。え、アロウズがトップバッターなんて、と驚きながらどうしても気分が合わなかったら外に出られるから良かったのかもしれないと納得することにしてSEが流れてきてはわくわく。二月以来のアロウズ、もう、難しいことなんて考えていられません。


the ARROWS
「恋する摩天楼」から始まってリュウジさんのダンスも激しく、最初はそのパフォーマンスにどよめきが起こっていました。表情がまったく見えない私はぼんやりと彼らの姿を視界におさめながら、山内さんのギターを弾く姿を眺めていました。「BGMの向こう側」で少ししっとりとさせてニヤニヤしていたと思ったら、踊りを誘うリュウジさんの声に紹介されたのが「JIVE JIVE」! 思わず声を上げそうになってしまって、ギターのイントロを聴いた瞬間にうわあと盛り上がってくるものがありました。曲調と歌詞がちょっとミスマッチ、と思えながらも調和しているところがとても好きです。
「ナイトコール」で終わりかと思っていたので四曲で終わりなのはとても残念だなあ、と次第に挙がりだした手を見ながらさみしくなりながらもライブ映えする曲に自然と顔も笑顔になっていて、本当の最後は「イエスタデイワンスモアーズ」で切なさをもって締められました。
MCでは相変わらずマサさんがいじられていて笑いも起こっていて、ああそうだったこういうやりとりも好きだったなあ、と緩みっぱなし。前回SHIBUYA HEART ATTACK!のAXで見た時は、前の方にいた人が一本目のバーにさえ届かないぐらいで後は端っこに並んでいるぐらいだったのに、今回は一本目のバーの後ろの方までぎゅっと詰まっていて、最初はリュウジさんのダンスに圧倒されたり笑っていたり様子見だったお客さんが段々とリズムに乗り始めているのを見て、うれしくなりました。もしかすると次にAXで見る時は、フロア全体が笑顔で満ちてゆっくりと揺れているかもしれません。来週はいよいよワンマン、仕事がのびないことだけを願います。



No Regret Life
セッティングの時からドラムの音が響いてきていて、力強いものでした。声は鋭さよりも少しのやわらかみとふくみを持っていて、三人の音が上手くまとめられてはいたのですが心がアロウズの余韻にひたってしまったために、きっちり聞く余裕がありませんでした。


つばき
何があったのか無理やりというかやけくそというか、一色さんのテンションがアゲアゲで相当高かったです。思わずちょっと笑ってしまうほどで、でも歌の方はきちんと感情を込めていて、MCではソネさんも含め一人ひとり挨拶をする場面もあって丁寧なところもありました。新曲の「瞬き」も「今日も明日も」も聞くことができて、短い時間でも彼らの持つ世界にぐぐっと引き込まれました。


チャットモンチー
全員女の子ということで出てきた瞬間お客さんが少しざわめいていて、ステージに向かう視線の集中度が高かったように思えました。次のDJさんのお客さんが多かったのでやりにくかったのかもしれませんが、とてもかわいらしく愛らしい子たちでした。
MCではほほえましいやりとりもありつつ演奏はしっかりとしていて、ガールズバンドというくくりにされてしまうのかもしれないけれど、色物ではないいわゆる「ギターバンド」というような音を女の子だけでやっているのは若い子たちの中で最近なかったのでちょっと新鮮。ひねくれたところもあって歌声も音源で聴くより説得力を持っていました。
そして新曲の「恋愛スピリッツ」を聞くのは初めてで、曲名から乙女っぽい感じなのかなと思っていたら歌詞がとても切ないもので、同じような状況にある女の子なら共感せずにはいられないような内容が切々と歌われていました。自分が二番目と知りながらも相手のことが好きでいる女の子、一番にはなれないけれどその子がいないから自分がそばにいられるとわかっている状況、その心情描写が見事でした。


DJOZMA
やはり彼らのお客さんがほとんどだったようで、振り付けも完璧な上に黄色い声がすごく、そうかそうかと微笑みを浮かべるべきだったのにその熱中を分析し始めてしまいました。初めて見る人のためにということで、振り付けの練習時間まであって、楽しく笑いながら踊れるようにという配慮もあったのですが、どうにもこうにもならなくて選択を誤ってしまったかもとさえ思ってしまいました。気分が合わない時は対処のしようがないらしく、いつもだったらもっと楽しめているかもしれないのに、とくやしさも一塩。徹底して楽しませるという姿勢で、覚悟と持って本気でやっているところに男気を感じたのに、自分のふがいなさをどうして良いやら。
実のところ、始まる前に帰ってしまおうかなと思っていました。実際、帰ってしまった方が良かったかもしれません。普段ならばその盛り上がりやパフォーマンスを見て笑ったりできるのに、時期が時期だったためフロアが熱を帯び始めればはじめるほどに反比例して冷静になってしまいました。集客のためには仕方がなかったのかな、なんて大人の事情のことを考えながら外へ出たらもう雨は上がっていて、アロウズのアンケートを書こうとしたら全部一まとめのものになっていたのでしょんぼりとしながら門を出ました。そろそろ気分を切り替えないと。