大人計画 本公演「まとまったお金の唄」

ネタバレはしないつもりですが、一応閉じます。
本格的に見たらきっとどっぷりつかってしまうだろうということがわかっていたので大学時代は避けていて、けれどチケットを譲ってもらったり気になっていた「キレイ」を見たりするうちにどんどんと深みにはまってしまいました。松尾さんは本当にずるい。
パターンや傾向を分析してしまったらきっとつまらなくなってしまうので、できるだけ深読みをしないように話の流れに翻弄されるようにしていたら、涙を流すほどに笑っていたのに最後の紐解きでくっと必死でこらえるものがありました。真剣なところでも照れがあったり、ちゃらけていても次にはぐさっとくるような科白がさりげなく配置されていたり、時に遊びをいれる俳優さんたちの所作も楽しく、どれだけ有名になっても迎合しないで自分のスタイルを貫いていく強さを感じました。
俳優さんの個人的なポイントは、宮藤官九郎さんが舞台で演じる時に出るSっぽさが好きだったり、菅原永二さんから出るなさけないオーラにひきつけられてしまったり、内田滋さんの声の良さに耳をすませてしまったり、荒川良々さんの足のラインに釘付けになってしまったり、と、全員分挙げてしまいそうなので自粛します。
明確な答えがあるわけでもなくて、絶対的な悲劇なわけでもなくて、ささやかな教訓があるわけでもなくて、それでも残るものがあって、松尾さんに心酔する友達の話を以前は軽く聞き流していたのですが、その情熱の理由が少しずつわかるようになりました。鮮やかすぎてずるいと思うぐらい、最後の話の収束の仕方は綺麗でした。

ちなみにネタバレをひとつ。
席が割と前の方だったせいか蝉之介さんが客席に投げたサックがひざの上にのせていた鞄へと落ちてきたので自動的に受け取ることになってしまいました、二つも。