ある朝の情景。
朝、自転車に乗りながらふと空を見上げると、飛行機雲がぼやけて枝のようになっていました。それから電車に乗って車内から眺めてみると、ぼやけた飛行機雲が他の雲とまざってナスカの地上絵のようになっていました。何かに見えると考え込んでいると、それは鳥ではなくトビウオのような形に変わってきました。空を泳いでは飛ぶ魚はとても優雅で、眠い目をこすりながらこのままぼやけて空と一体化してしまうので、せめてと頭に残そうとしました。携帯であの一瞬を撮ったとしても、感情が手遅れになっていたことでしょう。
いつもより混雑してきた電車からは見えなくなって、つぶれたおにぎりとくしゃくしゃになった書類を持って時間を気にしながら改札を出る、と、空には太陽の下から始まる一本の白い線がありました。たどった先には米粒より小さい飛行機。線はゆるやかに地上へと向かっていて、このまま落ちてしまうのではないかと少し不安にもなりました。それだったら空をぐるっと回って世界中に線を残して、またここに戻ってくれば良いのに、なんてことを考えながら職場のドアを閉じました。
境界線なのか、結ぶ糸なのか、トビウオなのかハトなのか、色々考えながらずっと耳にしていたのはロングシーズン。