ART-SCHOOL「HEIWA REAL BEAT」スペシャルライブ

孤独な魂を連呼していた渋谷陽一さん。初めて見たのですが意外に年を召した方で想像を裏切られつつ、クリスマスに音源がオンエアされることに笑いがさざめいていました。カウントダウンのことについても触れていたのですが、完売というようなことを言っていて、あれ、でも一般まだなのにどういうこと? と、ちょっとした疑問。

実際に見ても前髪なっがいなあ、あの髪をふりふりさせるのは映像で見てたノリ方そのものだなあ、というのが曲が始まってまず思ったこと。ART-SCHOOLのライブはこんな感じなのか、と静かに聞き入るお客さんの様子を観察しつつステージを見ていると、MCにて木下さんが「静かすぎてやりにくい」というような発言をしていて、ライブハウスではないしはしゃぎすぎないようにと注意されたからおとなしくしていただけなのかもしれないな、という結論に行き着きました。その後、特に激しくなるということもなく、リズムに乗るというよりも曲を身体に染み込ませているという感じでした。
もっと荒っぽくて一方的な演奏をしたりするのかなと思っていたのに、やりにくいとちゃんと伝えたり、夜のロフトでの弾き語りの宣伝をして「でもたぶん機嫌悪いと思います」と付け加えたりしていて、なんだかんだで木下さんは構って欲しい人なのかなという印象を受けました。
渋谷さんが言っていた通り音がとてもクリアーに聞こえて、特にベースの音が綺麗だったので指さばきも見たくて宇野さんの方ばかり見ていました。ふと木下さんの指も見ようとすると、全体的に細いのに腕がきちんと男の人で、浮きでている血管に少々のおどろき。木下さんの歌は上手というわけではないのに不思議と感情を揺さぶられて、実際に聞いてみてもやっぱり歌詞とともにどきりとしてしまいました。きりきりとした痛みを伴って、胸にえぐりこんでくるようなイメージ。ライブを楽しむというより何かを放出しているというか、浄化させているかのようでした。
ワンマン並とはいきませんが一時間以上演奏してくれて、嬉しいけれど次の予定がせまっている私としては「やめてー」という気持ちも半分ありました。アンコールは二曲。切なくて、きりきりきりきり。演奏する方としてはやりにくかったかもしれませんが、大盛り上がりするよりもそれぞれが聞き入るようなライブが今日は合っていたような気がしました。青のライトがよく似合って、深海を連想しました。光が届かない場所で蠢くもの。
ドキドキしながら時計を見ると六時半、これは駄目だとダブルアンコールを求める拍手の中を縫って会場を出て、ダッシュで駅へ。まだ演奏を聴きたかったのですが、次の予定だけはどうしてもずらせなかったので引きずられそうな感情までも断ち切って電車に乗りました。おかげで息は上がって足が痛い痛い。