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- アーティスト: POWDER,鈴木祐樹
- 出版社/メーカー: インディーズ・メーカー
- 発売日: 2005/10/07
- メディア: CD
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「落とし穴しかない場所」がまずは聞ければ良い、という軽い気持ちで借りたのですが、何度かその曲を聞いた後に他のものを聞いてみて、「出会ってしまった」という言葉が思わず浮かんでしまいました。
声が好みであるとか、歌詞に共感できるとか、この曲じゃなきゃとか、決め手となる一つのポイントがあったわけではありません。フィッシュマンズをさりげなく織り込んだ曲があったり、混沌とした世界を感じさせる歌詞があったり、曲によって声が様々に変わっていったり、それぞれの曲に違いがあって面白くもあるのですが、なぜか私は「これだ!」という強い気持ちはないのに、今の自分の気持ちや体調にぴったりなものに出会ってしまったという確信がどこかから沸いてきたのでした。驚くぐらいに冷静に、R25で山下達郎さんが述べていたことが頭に浮かんでいました。
「音楽っていうのは摩訶不思議な世界なんです。言葉では具体的に説明できない部分がたくさんある。だから、“こんな感じ”というほかない。イデアなんですよ」
「人は誰も、自分にとっていちばん美しい響きを頭の中に持ってて、その近似値を誰かの作った音に求めるんだよね。それが自分の好きな音楽になる」
たぶん、そういうことなのだと思います。私の場合は声をキーにすることが多くて、メロディーラインだけでずっと印象に残っている曲と言われても即答できないぐらいなのですが、漠然と、イメージとして自分が好きだと思える音楽というものがわかるようになってきました。今はまだ色々な音楽を聴いて、たくさんの中からすくっていきたいという気持ちが強いけれど、数年後にそれが閉じてしまっても頭の中に残る曲が増えていることを願っています。
私の中の美しい響きに一番近い音を奏でてくれる人は一体、どんな人なのでしょう?