「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2005」2nd day

メモする前のメモ。二日目で一番印象に残ったのはやっぱりフィッシュマンズでしたが、一番印象に残った人はと問われればビッケル兄さんでした。ものすごく酔っ払っていたビッケル兄さんは静かに演奏をするハナレグミ永積さんに掛け声を送ったり、やたらと話をさえぎったり、でもナタリーではしっとりとリーディングして……し終わってすぐにフウーなどという奇声を発したりして、あらゆる意味で最強でした。ステージぶち壊しだと怒る人もいるかもしれませんが、あんなに酔ったビッケル兄さんを見たのは初めてだったので、ちょっと得した気分にもなっています。けれどあそこまで酔っていなかったらナタリーワイズの曲もやってくれてたかも、という気持ちもあって、やっぱりソウルセットもったいなかったなあというのが心のどこかに残っているのかもしれません。

ORANGE RANGE
二日目もライブが始まっている中に到着。シートを敷いて準備をしながら聞いて、赤犬見たさにダッシュしたのですがタワレコブースでエコアンケートに答えていたら、赤犬の曲をちらっとしか聞けませんでした。せっかく下品だけど楽しいステージを見たかったのに、とかなり自分の行動を悔やみました。

氣志團
ブラックホールのスケジュールを確認したりしつつぐるっと回ってサンステージに戻り、両手を挙げさせてそのままおろして隣の人と肩を組ませたりするところに笑ったりしながら、ソウルセットのために移動を開始。

TOKYO No.1 SOUL SET
結構前の方へ行き、開始を待っているとサウンドチェックでフィッシュマンズがかかって思わず笑みがこぼれてしまいました。雨の影響か結構時間がかかって、アーステントのフジファブリックの様子がかなり気になりました。
曲はOUTSETからと既存曲とを半々に演奏していて、三年前にサンステージで生の音を聞いて半泣きになったJIVE MY REVOLVERのイントロが流れて来た時に「ああ戻ってきたんだ」と感情が揺れ動いたのですが、音が止まってビッケが科白のように言う重要な場面が音とびか歌詞忘れかで飛んでしまったのが非常に残念でした。MORE BIG PARTYでも同様に盛り上げ場面で飛んでしまったのでいまいち盛り上がりにかけてしまいました。それがなかったら本当に手放しで良かったと言えたのに! スタッフの人が前もってビッケの前のところに歌詞を貼ってたのを見ていたので間違えないだろうと思っていたのですが、あれは酔っていたから間違えたのかあるいは機材トラブルで音が飛んでそうなったのか謎のまま……マイクがやたらとハウっていたのも集中がそがれて残念でした。
Jr.が流れてきたのでSUNDAYはやらないのかと悔しがっていたら、OUTSETに続いてラストにSUNDAY、ここで相当盛り上がっていました。ぴょんぴょんはねて、前回のライジングサンみたいに感傷にひたったりはしませんでしたが、楽しむことができました。
終わった直後はちょっとひどかったなあと思って、でもそれは彼らをあのステージで初めて見た人にもっとちゃんとしたライブを見て欲しかったからなのかもしれません。違うから、ぐだぐだなところもあるけど本当ならもっと野外も似合う人たちだから!と心の中で何度力説したことでしょう。


リリー・フランキー×猫ひろし×Special Guest
スペシャルゲストが瀧だと知って俄然行きたくなっていたものの、みんな考えることは一緒のようで、ブラックホール前では混乱が起きていました。
指定時間にならないと列を作らせないという方法を取っていたので、どんどん人が集まってくるのに順番も関係なしという状況に。とりあえずこっち側に向かってくださいと指定された方へ行くと結局そこが列となってしまい、予想通り割り込みなどがありつつ長蛇の列、そして私が並んでいた場所より少し手前で切られてしまいました。

銀杏BOYZ
おそらく入場規制がかかっていたアーステントの様子をモニターで見る人がたくさんいて、座り込んでじっくりと見ている人もいました。峯田さんのステージングを生で見ていて、鬼気迫るほどの切実さに心が持っていかれそうになりました。テントから飛び出したり、祈って叫ぶように歌ったりする姿は生き急いでいるように見えて、CDよりもずっと生で聞いた方が歌の力が伝わるのだなあと実感しました。そして途中でグッズ売り場へ。

RHYMESTER
サイケデリコを待っていたのですがかなり押していたようなので、フィッシュマンズには間に合わないと思い始まる前に移動していると、アーステントではライムスターが演奏していました。通り過ぎようとすると聞いたことのある曲が流れてきて、いったん曲がとまってから登場したのは忌野清志郎。前回LOVE JETSの時にも歌ってくれた雨上がりの夜空にを披露して、曲が終わりに差し掛かった頃サンステージへ。

フィッシュマンズ
時間を勘違いしていたため、原田郁子ちゃんがWeather Reportを歌っていました。大急ぎでシートに戻って荷物を置いて、レジャーゾーンの間の通路が空いていたのでステージとモニターを見比べつつ曲に耳を済ませました。
四人のボーカルはそれぞれ自分の個性をまぜつつ歌い上げていて、天気までも演出かと思わせるほどに神がかっていました。通り過ぎていく人たちが「夜もヒッパレみたいだね」と言っていた通り、ライブというよりもコンサートに近いものだったのかもしれませんが、作られた当時に私が知らなかった曲が、今、そこで流れていてそれを知っている、そして当時聞いたらきっとわからなかっただろう良さが、年を重ねた今ではわかるということがとてもうれしくて、でも少し切なくて、泣くのを必死にこらえていました。フィッシュマンズのことをずっと好きでこの時を待ち望んでいた人とは比べ物にはなりませんが、私は私なりに彼らが引き継いできた音楽に触れ、ぼーっとしてしまうほどに骨抜きにされてしまいました。どうしてあの時曲を聞かなかったのだろうという後悔よりも、今知っていてそれを好んで聞けるという状況に感謝しなければなりません。

宮沢章夫×大根 仁×エレキコミック×ラストソングス×スチャダラパー
追加ゲストにスチャダラという文字を見つけた時点で、真心は諦めようと決心しました。フィッシュマンズが終わってすぐにブラックホール前に行くと、心配していたようなことは起こっていなくて、スタッフの人がきちんと列を整理していました。最初は段取りが悪いと思っていたのに刻々と進化していくブラックホールは来年もあったらもっと良くなっているのではないか、と座りながら思いました。近くのアーステントではThe ピーズが演奏を終え、サンステージではハイロウズが歌っていました。流れてくる曲に耳を済ませながら待つこと一時間、やついさん曰くキリストが生まれたような場所(藁が敷き詰められていたので)に通されました。前の方のお客さんは座っていて、たぶん満員だったと思います。
立ちながらまずは宮沢さんによる挨拶があり、途中でエレキの二人が割って入ってきて紹介しつつコント開始。宮沢さんが「僕が見たかった三国志の……」とちらりと紹介していたのでそれをやるのかと思っていたのですが、今立さんがオリジナリティーあふれるダンスを披露する演劇部のネタでした。お酒が入っていた今立さんは無茶ブリにもきちんと応えて動物のようなダンスという題では数日前に見たらしい皇帝ペンギンになっていました。あれはずるかったです。
エレキのコントが終わると大根さんとスチャダラのアニとシンコとアフラのプロデューサーさん?(ものまね番組の映像を持ってきた人)が登場して、みんなでそれぞれ持ち寄ったおもしろおかしな映像を見ることに。
最初は立っていたのですが段々座りだしたので私もありがたがりながら藁の上に座り「そうそう座った方が良いよ」と宮沢さんが言うぐらい、ゆるーくだらーっとした映像をたくさん見ることができました。内田裕也政見放送や一時話題になったとくダネの人の映像や逃げる警官や不謹慎だと言われてしまうようなものなど、外とは全然違った空気が流れていました。途中で来たボーズが自分の分の映像を忘れていて、彼がどんなものを持ってきていたのかがとても気になります。
まだまだ見ていたかったのに時間がなくなってしまい、ラストソングスに。宮沢さんは「コントです」と紹介していたので見る側は笑うことを期待していたためか、哲学的ともとれるパフォーマンスにどうやって向き合って良いのかわからなくなっていたようです。コントと言われなければもっと楽しめたのだろうなあと後になって思いながらも、ちょっと好きだな、と思える人たちでした。

the pillows
ごはんを食べる時間もなく、急いでグリーンオアシスへ。やっと生でピロウズが見られる!と興奮していたためか、ステージ脇の空いたスペースで見ながらも盛り上がりにさらりと乗ることができました。
さわおさんがフィッシュマンズのことに触れていて、名誉会員番号の0000番なのにどうして呼んでくれなかったんだとぼやいていたのが印象的でした。そしてその後に手拍子の中少しだけ歌ってくれた頼りない天使がとても良くて、そのまま続けてくれれば良いのに、と思ってしまうほど雰囲気がありました。
曲は幅広くやってくれたので、しんみりしたり盛り上がったり、初めて生で見た身にとってはとても満足できる内容でした。楽しかったので次は是非、ワンマンへ行きたいです。

スペシャブース
0時から公開生放送があるというので、その時間からハナレグミのライブが始まると知りつつも少し遅れていっても大丈夫かなと思っていたら、ビッケもいるという話をきいてまた猛ダッシュ。お酒が入っていたのに走ったものだから全身にアルコールがまわって、もたもたしつつやっとのことでボヘミアンステージへと到着しました。
(後にフィッシュマンズが登場したとしてがっくり……けれどどちらを選んでも正解だったということで他の人のレポートを読んで楽しむことにします)

ハナレグミ
前日よりもたくさんの人がいて、今度はゆったりとスペースを取ってそれぞれに座っていました。フィッシュマンズTシャツを着たままのビッケを発見して歌ってくれることを期待しつつ、はじまりを待ちました。以下セットリスト、公式掲示*1より転載。ここには入っていませんが、確か郁子ちゃんが入ってから永積さんが「並木っちゃう?」と聞いて小沢健二の銀杏並木のセレナーデをやっていたような気がします。

・音タイム
・マドベーゼ
・家族の風景
・Lucky[スーパーカー]
・プライマル[Original Love]
・Three Little Birds[Bob Marley](w/郁子)
・明日天気になれ(w/郁子)
・I will[The Beatles](w/郁子(vo))
・のびのびスパゲッティ(w/郁子,BIKKE)
・いかれたBABY[FISHMANS](w/郁子,BIKKE)
・ナタリー(w/郁子,BIKKE)
・夢の途中[来生たかお]
・そして僕は途方に暮れる[大沢誉志幸]
・トンネル抜けて[ボ・ガンボス]
・夢の中[ボ・ガンボス]
・忙しすぎたから[RCサクセション]
・君が僕を知ってる[RCサクセション]
・心空
・ボクモードキミモード
サヨナラCOLOR
・ハンキーパンキー
・一日の終わりに

ここでビッケがビッケル兄さんとなり、私はアルコールと睡眠不足と「今日はみんなを寝かせるつもりでやってきました」という永積さんの決心とやわらかな歌声にやられ、ゆらゆらと夢の世界をさまよいながらライブを楽しみました。テントの中で寝っころがりながら聞いている人がうらやましかったです。
ビッケル兄さんの言動については私としてはチェックすべきところがたくさんあったので、思い出す限りメモしていくつもりです。アーティストという名前が入ったパスがあればどこへでも行けると思っている、東京までこれで帰れると思っているという発言や、雄々しい「ナガツミー!」という掛け声、そしてまだ呼ばれると思っていなかったのでビールを頼んじゃったと安らぎモード全開だったりして、ビッケにクールなイメージを思っていた人にとっては裏切られた感がいっぱいだったことでしょう。
どなたかのサイトでライジングさんの中で一番長い時間演奏していたのはハナレグミだったと書かれていて、そういえばそうだと妙に納得しました。よく考えてみれば1日目にも演奏して、二日目も二時間以上ゆっくりとやっていて、このまま朝までまどろんでいたいと思えるぐらい幸福な時間が流れていました。あそこだけ時間がゆるやかにやっているかのようでした。

BEAT CRUSADERS
ぼーっとしつつアーステントでは生で見たかったビートクルセイダーズがやっていました。モニターを見て想像していたよりも老けている彼らを見て驚きながらも、実際に耳に流れてくるのはCDと同じ声で、立ち止まってしばし観賞。ちゃんと聞きたかったのですが、くるりが気になっていたのでサンステージへ。


くるり
歩きながらステージを見つつ、トイレに行ったらスタンディングゾーンへ入ろうと決心。

POMERANIANS
トイレに入っている時に「ポ・ポ・ポ・ポ・ポメラニアーンズ!」という掛け声が聞こえてきて、なんてタイミングなんだと意識をグリーンオアシスに持ってかれてしまいました。そのままふらふらとポメラニアンズのステージへ向かい、先日聞いた曲が聞こえてきて、一番最初はあんまりかもと思っていたのにぐいぐいと引き寄せられていました。ボーカルの声がとても好きで、中に入ってちゃんと聞こうと思ったら終了。とぼとぼとサンステージへと戻りました。

デビルロボッツ
またまたくるりを横目に、橋を渡ってアーステントへ向かうと、コルツの代わりに出演するバンドはなく、片づけが始まっていました。空も少し明るくなりはじめ、ブラックホールのスケジュール表を見てなんとなく中へ。
中ではデビルロボッツによるトーフ親子の映像が流されていました。お客さんもあまりいなくそれぞれ寝っころがったり座り込んだりして、映像もなかなか楽しくて私も座ってしまいました。子供たちと触れ合うトーフ親子を見ながら和み、ゆるい中終了。
五時前に何かがあるという触れ込みだったので期待していたら、どうやらブラックホールのスクリーンを上にあげると出てくるドアぐらいの大きさのスペースがあくようになっていて、そこから朝日が見える予定だったようです。あいにく空は曇っていて、デビルロボッツのみなさんがステージや藁のところや外を行ったり来たりしていて、諦めたらしいお客さんは写真を取ったりしてブラックホールをあとにしていました。私もずっと座っているわけにもいかないので、重い腰を上げて結構お世話になったブラックホールを去りました。外にでるとスタッフの方たちがハイタッチを決めていて、終わったあとの充実感ってどんなんだったかなあと過去を思い出したりもしました。

斉藤和義
レジャーシートゾーンに戻って荷物をまとめながら、きっと最後はあの曲だと期待しながら聞いていました。激しかったり大人だったりニヤリとしたり、キャリアの長さを感じさせる、安定したライブでした。そして最後の曲はイントロ部分を小出しにして、「ああ!」とうならせる構成になっていて、きちっと決まって今まで寝ていた人も立ち上がって音楽に身体を任せていました。朝日は見えませんでしたが、ああもう終わりなんだと切なくもなりました。