「サヨナラCOLOR〜映画のための音楽会〜」

今日に限って待機してなければならず、半泣きになりながら時計が七時を指す直前に懇願して明日自分で何とかすることになり、三十分遅れで会場に到着。そこには息せき切ってきた私とは正反対の、ゆったりとした音楽が流れていました。
一番後ろに立っていたのになぜだか永積さんと高野さんだけはよく見えて、ビッケと原田郁子さんの姿はPAブースに隠れていたのでわからなかったのですが、しばらくして驚いたことがありました。ナタリーワイズのライブ以来気になって仕方がないヒゲが素敵でピアニカがよく似合うお方、斉藤哲也さん。彼の姿が見えないのでモニターで探していたのですが、一向に見つからない。でもピアニカを吹いている人がいて、彼は長髪で……ヒゲ? よくよく見て見れば確かに斉藤さんで、髪が長くなっているので全然気がつきませんでした。それからは高野さんの後ろにいる斉藤さんをちらちらのぞきつつ、弦楽器を操る方々の演奏をじっくりと眺めていました。それぞれのグループの曲もやってくれて、誰を目当てにきたとしても満足できるような構成となっていました。
ゲストには原田知世さんと映画を監督した竹中直人さんがいらっしゃって、それぞれに曲を歌ってくれました。原田知世さんの声はとても透き通っていてきれいで、思わず目をつむってしまいたくなるぐらいやわらかいものでした。そういえばそれぞれのボーカルの声はみんな透き通っていたので、統一感が出ていたのかもしれません。ライブというよりも演奏会に近く、洋酒を飲みながらゆったりと見ていたいステージでした。
曲を聞いてあんまり心を動かされたりはしないと思っていたのに昨日はバナナマンでやられ、今日はアーティストである永積さんの曲にやられてしまいました。結構私の心は揺らぎやすいらしいです。
トップランナーを見た時にもぐっときてしまった「サヨナラCOLOR」をライブの最後に弾き語りで歌ってくれて、スクリーンには映画の一シーンと思われる砂浜が映し出され、声とその詞の世界に引き込まれてしまった私は、じっと彼と彼の背後にあるものを見ていました。曲中は我慢してきちんと聞くことを優先させていたのですが、曲が終わった後の一瞬の静寂とそこからわいてきた拍手を聞いたときにぶわっと涙が出て必死にこらえていました。あの静けさの純度の高さは何物にもかえがたくて、拍手が聞こえてきてふと我に返って私も力いっぱい永積さんに拍手を送りました。
アンコールもたくさん演奏してくれて、印象的だったのはアンコールでも登場してくれた原田さんを迎える時のビッケの喜びようでした。後ろの方に引っ込んでいたのでちらっと見える程度だったのですがあまりにはしゃいでいたのでこちらまで嬉しくなってきてしまい、一番最後に出演者が一列に並んで手をつないでお辞儀をするときも原田さんの隣にビッケがいて、戸惑い気味に手をつないだところもばっちり見てしまってちょっと笑ってしまいました。
汗をびっしょりかくライブも好きですし、今回のようなゆったりとした演奏会も良いものだなあ、と再確認。生で聴いて今まで以上にそれぞれのアーティストが好きになりました。とりあえずサントラを買ったので明日からはそれを聞きたいと思います。
ちなみに映画の前売り券も売っていて、二分の一の確率でポストカードに出演者のサインがついてくるということで一枚購入したのですが、想像通り何も書いてないものでした。そうだろうなと思っていたものの外れているとやっぱり少し悲しかったです。