「キレイ」

初めてのシアターコクーン。そして松尾さんの舞台は二回目で、前回の「キレイ」は見ないまっさらな状態でのぞみました。


世界観からして私が好きなもので、最初からこれはやばいぞと思った通り、ぐいぐいと引き込まれていました。鈴木蘭々の声がとてもかわいらしくて、背が低いことも作用して少女としてしか見れませんでした。生で蘭々を見て、彼女の声にどっぷりはまってしまいました。甘ったるくて無垢さもあって、何よりラストの「キレイ」という科白の言い方が大好きになってしまい、抑揚を抑えたようで感情がこもっているその科白が、もう、何も言えないぐらい気に入ってしまいました。そのため過去に蘭々のことについてあれこれ言ったことを懺悔します。声と言えば蘭々と高岡早紀の声質が高いだけではなく似ていて、二人ではもるところが美しく聞こえたのも印象的でした。
内容についてのあれこれは、考えれば考えるほどこじれるので前回の公演ももう一度見てから整理していきたいと思います。宮藤官九郎のマジシャンはSっ毛がある役だったので、もっと狂気があった方がぞくぞくしたのかもしれない、なんて思ったり、友達がどうしてそんなに阿部サダヲを可愛いと言っていたのかという理由がやっとわかったり、そして一番印象に残ったセリフが荒川良々の、うまいもの食べたら勢いよく噛みすぎて唇噛んじゃってその後別にうまいものじゃないのに食べている時にふくらんだ唇を噛んじゃった時のような気分、というような例えだったりするというのがどうにも。
三時間があっという間なぐらい世界に引き込まれて、音楽も装置も衣装も役者も科白も、すべてが豪華で、深く考える隙も与えないぐらい敷き詰められていました。なので、これからゆっくりとパンフを見ながら思い返して、その楽しさをかみ締めていこうと思います。松尾さんの芝居は確かに、中毒になりそうです。