ラーメンズ第15回公演 「アリス」

はじめてのアリス。いつもはライブを見て、それで終わっていたのですが初日を見たということもあり、自分の中の整理のためにも少しメモをすることにします。ここをご覧になっている奇特な方でこれからアリスを見に行くという方がいましたら、決して続きは読まずに記憶を抹消してくださることをおすすめします。
会場に入るまで100sの「OZ」を聞いていて、「アリス」を見た、というおとぎばなしのような一日だったので、今度は『オズの魔法使い』と『不思議の国のアリス』をレンタルしてきて続けざまに見ようと思います。




「Study」を見た帰り道はなぜか体が脱力してしまい、公演内容のせいかもしれませんが、いろいろと考えてしまって頭がこんがらがりそうになりました。頭の体操は大層大変でした。けれど「アリス」は終わって絡まることはあまりなく、当然公演名にワンダーランドにさまよう少女の名前が掲げられているのですから、戸惑うところも多々ありました。でも迷路の入り口を通ってしまった私は非常口へ向かおうという気持ちはなくて、くねくねと自ら迷い道に進んでいこうと思いました。
正式なコントの名前はビデオ化されるまでわからないので、とりあえずなんとなくの名前をつけて以下雑感などをメモ。帰り道、携帯にぷちぷちと打ち込んだものをもってきているので、なまもの感想というところを優先したいと思います。

1.旅立ち
小林さんのスーツは割ときれいなままなのに、片桐さんのにはしわが大分ついていて、これは……?というのが一番最初の感想でした。
くるっと回って場面転換するところや、移動する時の所作が狂言を彷彿とさせました。きちっと型が決まっていて、ある場所から場所へと移動する際にもその型にはまっているかのような感じ。内容については、話が脱線して脱線して戻ってまた脱線して、いつどこなのか全然わからなくても私たちの日常会話もこんなものじゃなかったかと後になって思い返したりしました。まさに釈然としない話。でも好きです。これを一番最初に見て、「ああたぶん一番好きだろう」という予想通り、アリスでは今のところ一番のお気に入りです。漠然としていて飄々としていて、でもリアル。型にきっちりはまっているところが美しく見えました。

2.矢印良品・誕生日
人形と小林さんのキャラと途中気配を消しているという話で不思議というか「採集」のように怖い感じの話になるかと思いきやそうでもなく。小林さんの声が低く疲れた感じで終始目を細めていたのが印象的で好みでした。敏感であろうとするのに鈍感な社員の片桐さん、ああこういう役割の人はいるなあと共感する部分もありました。

3.風が吹けば桶屋がもうかる
エチュードを見ているかのような感じ。TBSでやっていた、最初と最後だけ決まっていてその間の仮説を立てていくというようなもの。繰り返されるうちにどうつながるのだろうと想像しては裏切られました。最後に「桶屋がもうかるー!」という言い方にバリエーションがあって、自信ありげに言うところがよかったです。

4.バニー部
ギリジン状態で小林さんこと大吟醸がやりたい放題。レディオ体操が優雅で、第二のあそこはどうアレンジされるのだろうと気になりました。フェンシングを振るときのひゅんひゅん音が素敵。ネコの鳴き真似は私もよくやります。遊びの部分が多いにあるので、これからどう変わっていくのだろうと楽しみにもなりました。三代目の耳の見せ場をもっとつくってほしかったです。

5.甲殻類の面接
サソリロブスター伊勢海老ザリガニハサミマン→同じことを繰り返すのに少しずつ変えていくもの。出オチ感があって正直ちょっと物足りなさを覚えてしまいました。「Study」の時の科学の子も同じように、最初は物足りないと思っていたものが後々味を出してくるかもしれないので、これもどう変化していくのかが見物ではないかなと思いました。

6.ラブコメ競技会
彼女はしゃくとり虫という解釈で良かったのかどうか。ひゃく動いたら死んでしまうかもしれない、でも彼のためならやってみせる的な展開があるか……なんて勝手に自分内で話を盛り上げてしまいましたがそんなことはなくメタモルフォーゼ押し。変化した姿で何かやったらもっと印象に残ったかもしれません。しゃくとり虫が次々と技をくりだすところは次に何が来るのだろうとドキドキしていました。スモークがたかれたりライトが当てられたり、結構贅沢なコントだったような気がします。何といっても女の子のやきもき感が上手い!そして競技が馬鹿馬鹿しくて素晴らしい!

7.不思議の国のニッポン
久しぶりという言葉で何をやるのか理解。重ねられているものを見て箱の形がいろいろあるのだと知りました。帽子がキスチョコみたいで欲しくなってしまいました。都道府県ネタを余すことなくやっていて、地方地方で内容が変わっていくんだろうなあと思いながら見ました。ずっと海のない県に住んでいる私は「首都」という二文字になんともいえない気持ちを抱いてしまいました。お尻が痛くなってきたと思いつつもまだ終わってほしくないという気持ちもあって、沖縄の歌(宮沢さんバージョン)を歌っているときは、「ああもう終わりなんだ」と残念な気分に。


今までのラーメンズがそこかしこに詰められているようで、ダイジェスト的な印象を受けました。新しいものを求めていた人や裏切られることを前提に来た人には物足りなく感じたのかもしれません。でもそれこそ裏切りで、なんだかどうでもよくなって唇が乾くぐらい笑っていました。途中冷静になってしまうところもありましたが、すべてはまだ始まったばかり。これからどんな改良を加えられていくのかと思うと楽しみでなりません。お金があれば地方へ行きたいです。単純に京都に行きたいです。
そして今のところ一番の好みなのはやっぱり、一番最初のものでした。さて、これがどう変わっていくのでしょうか。


それとフライヤーについては心臓ドッキーンとなったことがありました。反転しているという部分ではなく、右上などにちょこちょこと書かれていた青い英字。家に帰ってからちゃんと見ようと思って、かばんから取り出して最初に見た時、インクがまだ乾ききってない状態で張り付いて文字がくっついちゃったのかと思うぐらい自分の字に似てました。英字を書く時の癖が妙に似ていて、一息ついて「ああこれはそういうものなんだ」と落ち着かせてみても、やっぱり親近感が沸いてきました。さすがにどうかとは思いますが、鏡でもとの文字を解読しながら同じ単語を書き連ねて本物と見比べたりも、してしまいました。あの文字の持ち主が誰なのか、非常に気になります。筆記のドッペルケンガーが存在していたようです。