「TOKYO No.1 SOUL SET presents "STILL"」(→)

初めて彼らの生歌を聞いたのは北海道だった。中学生の頃から気になる存在で友達と一緒に歌ったりしてたのに、ファーストアルバムを聞くばかりで活動停止の頃には気持ちが離れていた。でもふとレンタルしてみたアルバムに引き付けられ、ぴあでライジングサンに出演すると知った時は即座に北海道行きを決めた。
一番大きなステージでの演奏は心地よくもあったけれど、次がミッシェルだったので場所取りをしている人が多く、もっと前で彼らの表情を見ながら聞きたかった私はもどかしい気持ちにもなった。まるで興味がないかのような素振りはまだ良いものの、大声で会話されるのがつらかった。でも、さんざんCDで聞いていた声が今、そこで発されていることに気がついて、曲の世界へ入っていくことができた。
大好きだった曲を聞いて、泣きそうになった。
ちょうど夕暮れ時で、空が水色と朱色が混ざり合ったようなものになっていて、俊美さんが指を指して「あの雲みたいにゆっくりやっていきます」と言ってくれた。仮初の復活かと思っていただけに、ゆっくりでも続けていくという言葉を本人から聞けてとても、安心した。
隣では女の子が二人、寄り添うようにして曲を聞きながら泣いていた。

あれから一年。2003年に行われたライブのチケットがとれず、歯がゆい思いをしていた。今年こそ、と思った今回のライブも運が悪くチケットを手にすることができなく、当日券の扱いもないということで落胆していた。でも、たまたま余った方から譲っていただけることになって、雪で電車が遅れる中、久しぶりに彼らの曲を聞けることになった。
無理に泣こうとなんてしなくても、じんわりと心からにじみでるものがあった。アルバムの約束もしてくれて、新曲もいくつかやってくれた。聞きたかった曲も歌ってくれて、跳ねるみんなの姿を少し後ろから眺めていた。とても美しかった。待っていて良かった、と思った。もしかしたら友達の中では懐かしむだけの存在となってしまったのかもしれないけれど、私の中では確実に生きている。
stillの歌詞が胸に響く。そして曲がなり響きだす。あの空間に、今年もたゆたっていたい。