SPITZ JAMBOREE TOUR 2009「さざなみOTR カスタム」

近所なのでどうしようかなと迷っているうちに発売日を過ぎていたためすっかり諦めていたのですが、「チケトアルヨー」と友人からありがたい話をいただいたので体調のことなんておかまいなしに行くことにしました。普段犬と散歩しながら外をぐるりと回ることしかできない場所に、初めての潜入。
閉じますが、内容ではなく単なる思い出話です。
ライブを見て、というよりも空間も含めて浮かんだ言葉は「稀有」でした。スピッツの他にも長年続けていてライブもきちんとこなしているバンドはいますが、ライブを見たら彼らが彼らでしか醸し出せない空気を持っていて、それを見つめるお客さんたちの温度もぴったり合っていて、これからもきっとずっとこうなのだろうなあと感じました。
スピッツに関しては現在も続いていることはもちろんなのですが植えつけられた記憶が多いのでどうしても過去にさかのぼってしまうものがあり、長野へ行ってしまったあの子が最初に行ったカラオケで「ヒバリのこころ」を歌っていたり、彼女が「スピッツのロフトライブへ行って来た!」言ったので「ロフト」が黄色のロフトと同じかと勘違いしたまま話を続けたりしたことを思い出してしまいました。彼女が見た何倍の景色を私は見ていたのでしょうか。そして「スパイダー」を聞いて泣きそうになったのは「伊集院さん!」と興奮してしまったからというのは友人に内緒の話。
実のところ一番新しいアルバムはまだ聞いていない状況で、それでも十分に楽しめるものでした。曲の世界を本人たちが演じているのではなく文字通り描いている姿を実際に見ることができて、あんなに大きな会場なのにそれを感じさせないぐらいあたたかさに満ちていて、何より気負いすぎずゆるい部分も持ち合わせているところが、居心地のよさの一つだったのかもしれません。ワンマンを見るのは初めてなのに、いつもこんな感じなんだろうな、と感じさせてくれるところも嬉しかったです。
マサムネ(敬略称)の声は澄んでいるのにぶれず、とても力強くて心に直接響いてくるようでした。こんなにポップでなじみやすいのにひねくれぎみの私にさえ届くのはどうしてだろう、と思っても答えは簡単で、ろ過されたきれいな場所だけではなく沈澱したものも捨てずにそのまま置いてあるからでした。きれいなことを歌っていても、見せない部分をチラつかせられたら気になって仕方ありません。
最後の最後が「ヒバリのこころ」だなんてにくい! としびれながら横を向くと、十年以上前から知っている友人が笑顔でステージを見つめていました。サイドステージだったのですが思いのほか近く、誘ってくれた彼女に感謝。