sgt. 1st Full album「Stylus Fantasticus」TOUR FINAL

見たいイベントは今まであったものの逃していたので行くのは初めてだったSUPER DELUXE、予想通り迷いつつも六本木ヒルズを少し先に行ったところにあって無事たどり着くことができました。ドリンク代が700円だったことに軽く衝撃を受けましたが、実際は料金分飲めるためソフトドリンクならば二杯飲むことも可能、という理にかなった設定となっていました。
スペース的なことを言えばかなり自由度が高いようで、長方形の中でステージをどこに持ってくるかによって印象も変わりそうな所でした。今回は横に広く使っていてスクリーンが横一面、ではなく区切られて三つあるような状態で段差を加えた椅子も有り、キャンドルの光がゆらゆらと揺れて何かが始まる予感がたっぷり。


twin electric violins band (勝井祐二 / 定村史朗 / 芳垣安洋 / 益子樹)
あの場所に最初から最後までいなければ共有できない世界というものをどっぷり味わわせてもらいました。ある物語のはじまりからおわりまで、ゆるやかに音を紡いでいって次第に激しくなっていく様には鳥肌が立ってしまって、構築される世界にうっとりしたりはらはらしたり、目の前で展開されていくストーリーに釘付けでした。二つのヴァイオリンは追いかけっこをしたり別々のラインに向かったり音の種類も豊富、ベースラインは鍵盤で補っていて、そこに電子音が混ざり合ってうっとり、おまけにリズムも体温を上げるかのごとく気づかないうちにはやくなっていて、全体的に見ればゆっくりとした変化だったのかもしれませんが、飽きることなくずっとステージにひきつけられていました。映像とももちろん合っていたのですが、時々目をつむって音だけを堪能したくなるぐらい、過程ごと楽しむ空間でした。


sgt.
タワレコのインストアライブもnestのツアー初日にも行けなかったので、何があっても行かないと、と鼻息荒くしていました。アップルストアはアコースティックバージョンだったので、アルバムの曲をきちんとした形で聞くのははじめて。これがもう、何と表現して良いのやら!
三面に映し出される映像は幾何学的なものが中心でストーリー性は感じないようになっていたのですが、時に無機質な感じがステージ上で繰り広げられる嵐のような音とマッチしていて、激しすぎるというわけでもないのに何度「嬲られた」という感覚に陥ったかわかりません。巻き込まれる、抱き込まれる、翻弄される、次々と展開していく物語に追いつくのに必死で、発されていく曲たちが生き生きとしていました。鍵盤やギターやサックスなどサポートも入るので音に広がりも出て、アハーアハーと浮かんできた単語はアルコールの度数が強めだったせいか「酩酊」でした。
二部構成になっていて、成井さんの着替えのためにこうなったと言われていましたが、最初は黒のワンピース、次は紫のロングドレスという衣装で素敵でした。男の人たちの中でたった一人、バイオリンで立ち向かっていく成井さん、という見た目のイメージがあるせいなのかもしれませんが、今回のアルバムで感じた雄々しさの中にあるしなやかさが見事に再現されていて、のぼりつめていく感覚がとても気持ち良かったです。
おまけにアンコールでは前のアルバムの曲も演奏してくれて、今のsgt.でこの音を聞けるなんて!と興奮しっぱなしで、この気持ちをどう伝えたら良いものか、言葉もイメージも具体的なものに結びつかないまま熱気だけが身体の中に残っていました。とにかく圧巻、でした。
会場の雰囲気とも良く合っていたので、またSUPER DELUXEでやることがあったら何が何でも見に行きたいです。来年もまた見られますように。


追記。ライブを見ていてもう一つ浮かんだ言葉があったのですが実際にあるか定かではなかったので調べてみたところ、存在していました。狂ったようになっていく、その表現はいまいちしっくりとこなくて、狂わされる、くるわされる、くるわかされる……くるわ。くるわ。どんな意味の単語なのかよくわかっていなかったのですが、後で知ってびっくり、「1 城やとりでの、周囲を土や石などで築き巡らしてある囲い。また、その内側の地域。 2 《周囲を塀や堀で囲ったところから》遊女屋の集まっている地域。遊郭。遊里。」とあって、イメージにもなんとなくそっていたため自分の無意識が恐ろしくなりました。