「春子ブックセンター」

初演バージョンを知らない方がきっと楽しめる、ということで前知識をほとんど入れないでおきました。結果的に良かったのか悪かったのかはわかりませんが、中途半端な感じがしてしまったのは残念でした。


たぶんおさむショーとしてならば、キャストもものすごく豪華でそれぞれのネタのやる箇所もあって贅沢だ贅沢だと言いながら楽しめたでしょう。けれどこの作品は設定やもろもろを変えたとしてもあらかじめ世界が出来上がっていた演劇の世界のものだったためか、きっちりとしたストーリーがおざなりになっているような印象を受けてしまいました。もちろんキャラの来い人たちがたくさんいるので笑ったりハラハラしたり、なだぎさんの動きに目を奪われたり友近の歌声にうっとりとなってしまったりしたのですが、そのキャラの抱える暗さというか黒さというか、泣き笑いのカタルシスがちょっと足りないなあ、初演はどんな感じだったのかなあと気になってしまいました。場所のせいか台詞が聞き取りづらかったのも関係をつかみきれなかった原因なのかもしれません。
だからといってまったく楽しめなかったわけではなくて、バッファローの竹若さんの俊敏な和装さばきについ反応してしまったり、ルーさんのひよわな体つきを拝めたり、友近の生徹子物真似に興奮したり、おさむショーでは結構あるアドリブというか大喜利のようなところもあったり、舞台で笑いをこらえる役者さんを見ることができました。東京では楽日ということもあってかカーテンコールも多めで、トークの楽しみもありました。
そしてこうなってくると初演が見たくなってきて、春子の持つ悲哀を松尾さんがどのように演じていたのかが気になります。