サカナクション「NIGHT FISHING」

NIGHT FISHING
BabeStarは一律2100円なのでとてもとても良心的。抱き合わせ商法と言うと響きがよろしくないですが、タワレコではフジと並べて置いてあって、好きになる傾向としては似たところにあるので気になって購入した人もいそうです。どちらの新譜も楽しみだったのですが、欲求にまかせるままにしていたらおさかなさんの方を選んでいました。このままだと我慢していた明日のイベントへも行ってしまいそうです。
普段釣りをしているだけあってさすがに撒き餌が上手い、なんてひねくれた言い方をしたって当然その餌に食いついてしまうわけで、前回に引き続いてアンバランスのバランスが絶妙でした。ねじられていてもポップさは失っていなくて、妥協点があったとしても譲れないものはそのままにしてある、色鮮やかな世界。音がほとばしって飛び散っていく様が見てとれて、バケツに入れたペンキをべしゃっと壁にぶちまけた時のような、バラバラの形の模様が思い浮かびました。音だけではなく言葉にもこだわりが見られて、聞いているだけでも言葉遊びをしたくなってしまいました。曖昧の隙間を残すことで想像が入り込んで、好きなように解釈できます。
浮かんだ一つのイメージは戦略に上手くのせられたものでしたが、植えつけられたものを展開させていっても楽しかったです。地面と空が反転する、というところから始まった景色。例えば、海の中をもぐって下を目指して、海底にいる色鮮やかな魚たちを見たくて、どんどん泳いで泳いであがいていくうちに海が空になり、気付かないまま空を泳いでいて、いつの間にか海に飲み込まれた月ではなく太陽に向かっていて、空で自分は泳げないとわかった瞬間、落下していく。そして下の海へ落ち、再びもぐって泳いでいく、ということを延々続ける滑稽な日常がありました。わかっていても泳いで、海が空になると知っていてももがいて、目指していく。
あ、と思った曲で画面を見てみると、「ティーンエイジ」というタイトルで、今日読み終えた本のサブタイトルには「teen」が含まれていて、明日聞こうと思っているアルバムのタイトルは「ティーンエイジャー」で、日曜に聞きたいと願っている曲のタイトルは「さよなら'90」。私はまだ、十代にとらわれているようです。