cinra presents 「EXPOP!!!!! volume2」*1

翌日のライブとどちらかに行こうと決めたものの迷って迷って迷った末、PBLは今月一度見ているし来月も見ることになるだろうからということでこちらにしました。全部が全部見たい人たちで、こんなに私好みで良いのか、というイベントでした。


狐の会
フロアがすっかすか、お客さんは段のところに座っていて、開始すると多少は増えましたがあららこんなに少なくて大丈夫なの、と心配になってしまいました。トップが彼らということに驚きながら、やっと見られるとわくわく。
描かれるのは肩肘張らずにのんびりしながら揺れる、というような世界なのですが緊張しているのか妙なところに力が入っているところが見てとれて、力を抜こうとするあまり凝り固まってしまっているように感じてしまったのが残念です。彼らにとってのホームやもっとたくさんのお客さんがいるところでやったら本来の良さが見られたのかもしれませんが、作り出そうとする世界にまだ追いついていないように思えてしまって、ゆらゆらしたかったのにこちらまで緊張が伝わってしまいました。でも少しずつやわらかさを帯びてきて、ドラムというよりパーカッションに近いリズムを作っていた女の人のMCにより公式サイトが見られないのは料金不払いのためとわかって一安心しました。六月中には復活するらしいです。アルバム製作中、ということでそれも楽しみで、今度はもっと力の抜けた状況で見てみたいです。


ウミネコサンライズ
ウミネコになってからバンドで見るのが初めてだったので、メンバーが変わってどうだったのかはわからないのですが、それぞれの音がすんなりと曲に溶け込んできました。初めて聞く曲も多いのに、あれ、古里さんてこんなに歌に力があったのだろうかと思うほど感情が込められていて、中でも「宇宙旅行」という曲でぐらぐらと気持ちを揺さぶられてしまって、ステージ上で紙飛行機を持って遊ぶ子どものようにスペースシャトルのおもちゃを空中に泳がせる古里さんからイメージがあふれそうになりました。描かれるのはあなたとわたしの関係、だけではなくその二人を巡る情景も世界の一つとして織り込まれているので鮮やかなイメージが次々と浮かんできました。
心地良いペダルスチールの音としっかりとした古里さんの声、ギターもベースも安定していてドラムのリズムも曲の世界を壊すことなく支えていたのですが、もう一つ、良いなあと思ったのはフロアの雰囲気でした。たぶんお客さんが一番入っていて背の高い男の人も多かったのですが、みんなそれぞれにゆったりと、くゆらせる煙のように揺れていて、とても居心地が良い空間でした。
イベント終了後に物販へ行ったら二つあるデモのうち、一つが売り切れていたのですが、昔のと言っていたのでたぶん以前購入したものだ、と思い込むことにしました。「宇宙旅行」を何度も頭の中にめぐらせたかったので、そちらのデモが残っていたのはありがたかったです。


トミーザグレイト
お客さんは大分減ってしまって、ステージ上にミラーボールが設置されたりして楽しそうだからもっとさくさん人のいる中でダンスチューンを聞いたら楽しそうなのになあ、と贅沢なことを思ったりしたのですが、あどけなさの残る声とたくさんの遊び心あふれた楽器の音を聞いていたらお酒の力もあって考えるのが面倒になってしまって、やっぱりワンマン行っておくべきだったかなあ、我慢していたけれどアルバム買おうかなあ、と欲ばかりが浮かんできてしまいました。インストの曲も良くて、彩りも鮮やか、またタバコと対バンしてくれたら勢いに乗って見に行ってしまうことでしょう。


タラチネ
なんとなくしか知らなかったので、歌声に少しばかり面食らいました。曲のイメージとしたらはかなさが見える声が似合いそうだったのですが、実際に聞こえてきたのはギターロックでなら聞いたことのありそうな、哀愁漂う色気交じりの男の人らしいものでした。けれどそれが似合っていないわけではなくて、確固たる強さがある歌とステージにあふれる笑顔と時に激しくなる楽器の音とが絡み合っていて、真ん中の女の子の歌声がウィスパーボイスっぽいかわいらしいものだったので二つの声がともに良さを引き立たせているようでもありました。
ベースの方が泥酔に近くステージから降りて演奏したり向かい合ってみたりと、メンバーでこの人だけ飛び出していて大丈夫だろうかと心配になったのですが、彼だけというわけではなく座って穏やかに演奏する鍵盤の女の子以外はみんな段々激しくなっていって、きっちりまとまっているように見えました。楽器も色々登場して担当も替わったりして、本人たちが本当に楽しそうに演奏しているので、その空気までも伝染してきました。


ラウンジの倍音ケイイチさんの演奏はちらっとだけしか見られませんでしたが民族楽器を中心とした、長時間聞くとそのループに取り込まれてしまいそうな中毒性を持っていそうなもので、野外で聞いたら気持ちよさそうでした。
四つとも見たかったバンドなのにお客さんの入りがあまり良くなかったのがもったいない!と鼻息荒くするポイントではありましたが、とても満足しています。このイベントは毎月開催されて日程も既に決まっているようなので、スケジュールとにらめっこしつつまた何度か行ってしまうことでしょう。