ARABAKI ROCK FEST.07*2

毎年気になる人たちが出ていて歯噛みしていたのですが、今年は衝動に任せて行くことにして、すっかり満足してしまいました。個人的には意外なところで意外な人にも会ったりして、フェスというものは本当に不思議なのだなあと思うこともありました。
見たものメモ。
sleepy.ab→DOES→THE CORONAスカパラなどチラ見→ミドリ→フジファブリック→女子プロチラ見→THE HELLO WORKSホフディランTOKYO No.1 SOUL SETROVOハナレグミthe pillows斉藤和義(弾き語り)

以下、携帯からのものも含めつつ閉じます。ちらっとだけ書くつもりがまた止まらなくなってしまいました。


sleepy.ab
昨年のライジングサンで見ようと思っていたのに、ステージの端から端まで移動しなければならなかったので体力のことを考えて諦めたことを何度も後悔していました。東京のライブも見ようとしていたのに、ましてやワンマンも行く気満々だったのにタイミングが合わず、今回ばかりは見逃してはたまらない、とばかりに張り切って十時前に到着。
想像通りの声、世界観で、普通オープニングは盛り上がる人たちを持ってくるものなのにそうではない彼らから始まったのはアラバキの幅の広さなのかもしれません。人の入りはそれほど多くありませんでしたが、周りにいる人のことよりも頭の中で広がる景色を把握する方に必死になってしまいました。ギターの一人が椅子に座って演奏に専念して繊細な音を奏でていて、一つひとつの風景が丁寧に編まれて織り込まれてゆくのを噛み締めながら味わうことができました。最後の方で披露された「メリーゴーランド」という曲のドラムのドコドコ音がドラマティックで胸に刻み込まれて、ああこれはもっと早く新譜を聞いておくべきだったとしょっぱなから後悔の嵐に巻き込まれてしまいました。
若手枠の「TIME OF THE HOPE」は持ち時間が少なくて25分もなかったかもしれません。本当にあっという間で、世界に引き込まれはじめてぐいっと持っていかれそうになったところで終了、おあずけを食らった気分になってまんまと戦略に乗せられたのかもしれません。
ちなみに公式サイトを見ていたら、5/18 19:00〜 O-NestにてESKJU DIVINEオープニングアクトをするようで、あらあどうしましょうと迷うところです。


DOES
お客さんの入りはスリーピーと同じぐらいで割とゆるゆる。ジャケットをよく見かけたりANAと対バンしていたり、気になってはいたものの曲自体を聞くのは初めてでした。もっと癖がある声なのかなと思いきやそうではなく、ねっとりしたところも垣間見せつつカラッとした肌触りのイメージでした。なかなか格好良かったので、今度は音源を聞いてみたいです。


THE CORONA
これから始まるってのに後方でシートに座ってのんびり見ている人がいるぐらいで前方はすっかすか、大丈夫なのかと心配になったのですが、段々と増えてきたので良かったです。大所帯で奏でるのはラテンのリズム、姉さんと呼びたくなるようなボーカルの女の人の歌声はエネルギッシュで芯がしっかりとしていて、自然と踊りたくなるような音楽でした。様々な国の要素を取り込んだ音は野外で聞くとより一層開放感が増して、人は少なめでしたが楽しかったです。


ハタハタのチャットモンチーがものすごい人だったらしく、渋滞の起こっている小道を横目にちょっと見てみたかったかもという欲張り心が出てきましたが、少し音漏れを聞けたので良しとしました。さてそれでは遠い上に混雑していたというハタハタステージはどんなものかと見に行ったらSTART FROM SCRATCHが演奏中、英詞を乗せた切ない感じの曲調でした。その後スカパラを見ようとしたのですが、人があふれかえっていてこれまた大変なことになっていたので、彼らはまた他のフェスでも見られるだろうということでしばらくふらふら。


ミドリ
ボーカルの女の子がセーラー服姿でものすごいパフォーマンスをする、という情報しか仕入れていなくて、実際に見てみるとオーソドックスなセーラーとは少し違った、どこかの学校の制服を思い起こさせるものを着ていました。曲はかなり攻撃的で叫ぶように歌ってがなったり、スピーカーの上に乗ってパンチラがあったりマイクに頭をぶつけてみたり、というかなり刺激的な部分もありましたが、普通の歌声は女の子らしくかわいいもので、そのうちあえぎ声を使った曲が出てくるのだろうか、なんてことも考えつつすんなりと受け入れてしまいました。最後に演奏された「あんたは誰や」がなぜだか後をひいています。アクは強く確実に引く人はいるのでしょうが、その分はまってしまったらひたすらのめりこむ人もいそうです。


フジファブリック
思っていたよりもお客さんは少なめで、ぎゅうぎゅうということはありませんでした。「銀河」や「虹」などの盛り上がる選曲でその中に「ダンス2000」がなかったのは少し残念ですが、「Surfer King」を聞けたので満足です。歌詞も音も変、変、変で思わずにやにや。夏に似合いそうなので今年のフェスでもきっと演奏されることでしょう。
フジの日割りが発表されて、フジのフジを見ようかなと迷っていたら金曜日ということで、それはちょっと厳しくなってきました。


ハタハタへ向かう途中の臨時特設リングにて女子プロをやっていて、終盤だったのか大盛り上がり。スリーカウントを取れそうで取れず、ひっくりかえしてかえされて勝負がどう転がるかわからなくて、しばらく見ていて彼女たちのプロ根性というものを強く感じました。エンターテイメント、それをどんな種類であっても作り出す人が輝いて見えます。


THE HELLO WORKS
お客さんはそこそこ、でもわんさかというほどではありませんでした。ゆるいゆるいMC、でも演奏はお仕事なのできっちり。この空気感たまらないなあ、とゆらゆら揺れながらひたすら笹沼さんのベースを堪能してしまいました。何の因果か、少し移動しても笹沼さんだけ隠れて見えないというトラブルに見舞われたりもしましたが、負けてたまるものかと凝視してしまいました。
編成はB級ラップグループスチャダラ三人にB級インストバンドスライマングースにC級ラッパーロボ宙の五人で九人。スライマングースのトランペット担当だった外間さんは脱退してしまったみたいなのですが、見た目は彼に似た人が吹いていて、メンバー紹介でもよく聞けなかったのでそれがいまだに気になっています。
曲はスチャダラ中心で「CATCH the DROP」や「ジャカジャ〜ン」などありつつ、聞きたかったスライマングースの「Snakes & Ladder」にラップを乗せたバージョンもあって、ハローワークスのテーマも聞くことができました。MCになると途端に肩の力が抜けてハロワ・ホフ・ソウルセットの並びについて、十五年前の下北だと評していました。確かに年齢層が高めだったのはいなめません。曲に入るとさすがプロな上に支える演奏がとてもしっかりしているのでもっと聞きたいもっと聞きたいと欲張りになってしまいました。


しばらく時間があるのでふらふらして安藤裕子さんの歌声に耳をすませて、結局ハタハタへと戻ってきてしまいました。


ホフディラン
シートに座りながら揺れて聞いている人もいて、とてもピースフルな雰囲気の中でライブが行われていました。思わずにこにこしてしまう音楽に、微笑ましくなってしまう、自由すぎるベイビーさんとしっかり突っ込む雄飛さんの関係性。新しいものも古いものも聞けて、あの場の空気がとてもいとおしいものに思えました。ホフはソウルセットの前座のために組まれたもので、強引に言えばホフは川辺ヒロシによって作られたと言っていて今さらの情報なのかもしれませんが、詳しいことをろくに知らなかったので驚きました。


TOKYO No.1 SOUL SET
お客さんはそこそこ、という程度の入り。年末ライブのようにクールなステージでビッケが歌詞を大きく飛ばすことはなく、「Sunday」や「隠せない明日を連れて」、新しいものだと「OUTSET」など割と有名どころの曲を演奏してくれました。MCもほとんどなくてストイックな感じがよく出ていました。春で野外だったので今日の笹沼さんの厚着も厚着とは感じなくて、音響の状態が良好ではなかったためかぞくぞくするほどのベース音ではありませんでしたが、演奏をきっちりと見せてくれたので大満足です。懐かしいね、と言っている声がちらほらと聞こえましたが、待って、まだ続いているよ、懐古するにはまだ早いよ!と思いながらも新曲は聞けなかったので何も言えませんでした。今年は何かリリースがあると良いなあ。


ソウルセットとかぶっていなければ、酔いどれおじさんたちの渋いJAZZを見たかったのですが、音漏れだけで我慢。「やっぱり肉を喰おう」は演奏されたのかな、堂島さんと一緒に何をやったのかな、と想像で補ってそのままハタハタでROVO待ち。


ROVO
始まれば人が増えるだろうと思っていたのに、あら?と首を傾げるぐらいすっかすか。けれどライブはそんなことなどまるで関係がなくて、尺をまるまる使って演奏していたら確実にその場に繋ぎとめられていたことでしょう。どうしても永積さんを見たかったので、一曲目が終わった瞬間に誘惑を振り切ってステージを背にしたのですが、大きなうねりを持って巻き込んでいく力と、どんどんと取り込まれていく楽しさと怖さの両方を感じました。空が夕暮れから夜に変わる頃で、空をスクリーンにして映像を操っているかのような錯覚まで抱いてしまって、しっかり自分を持っていないとどこか違う世界へ連れていかれそうでした。昨年ライジングサンで見なかったことをまたまた後悔して、今年の野音にも行けないことにも先取り後悔をして、今度聞くときは覚悟を持ってどっぷりと翻弄されようと力強く誓いました。


ハナレグミ
たくさんの人で、静かな曲を聞くのにぎゅうぎゅう、という不思議な現象が起こっていました。永積さん一人だけの弾き語りから、先日のフジのライブでもサポートしていた二人が入って三人編成へ。目を閉じて歌声に耳を済ませて、この声はずるいよなあと思っていたらゲストにビッケ。同じ日に出演するからには何かしらあって欲しいという願いが届いたのか、「ナタリー」を歌ってくれました。この曲だとソウルセットよりもfrom ナタリーワイズと言った方がしっくりきます。
そしてさらなるゲストにスチャダラパー、この時の盛りあがりったらなかったです。曲が始まったら人がぎゅっとより凝縮される形になって、ジャンプジャンプでもまれてわけがわからない状態に。あのメロディーを永積さんの声で聞ける贅沢、そしてあの人だけがいないという現実。思わず感極まってしまったのは永積さんの歌声だけでもスチャダラのベテランさだけでもなくて、曲に刻まれた記憶や思いに加えて見ている人のほとんどが歌詞をそらで歌えているからでした。さあみんなで歌いましょう、というのではなく自然と口をついてしまう、ラップの部分もばっちり、さらに二番まで完璧、それぞれの思いと記憶が声となって吐き出されて、ああこの感覚が同世代感というものなのかもしれない、とずるいずるいという気持ちを落ち着かせるために冷静であろうと必死になってしまいました。自分の中からわきあがってくるものがあって、それが自分だけではないとわかって、共有していたものは同じでもそれを受け取ってから違うものになって、再び同じところに収束していく、という不思議な感覚でした。永積さんの歌声は野外にとても似合うので、今度はひっそりとどこかのフェスでやってもらいたいです。


the pillows
彼らが来るということは雨が降るってことだという話を聞いて合羽の準備万端だったのですが、びしょびしょになることなく、星もまばらに見える中でライブを見ることができました。たくさん人がいたので後ろの方でゆったりと、夜になって肌寒かったのですがステージから伝わってくるものはあたたかくあつかったです。演奏はとても安定していて曲の世界もきっちり、その上切実さを持った歌声が響いてくるものだから、ああやはり一度きちんとライブを見てみるべきなのかもしれないな、そういえばピロウズ好きだったあの子は今どうしているのだろうか、としばらく会っていない子のことを思い出しながら手をぎゅっと強く握り締めてしまいました。


斉藤和義
帰ろうかなと支度をしていたら聞こえてきた歌声、ふらふらと引き寄せられてしまったのですが、見ておいて良かったです。弾き語りなので歌が直接届いてきて、強すぎる力にあてられそうにもなりましたが、本編最後の「歩いて帰ろう」では笑顔になって、ゴミ分別を頑張っているスタッフさんたちも楽しそうに動いているところも視界に入って余計に楽しくなってしまいました。



初日、会場の様子をどう感じたかというと、アラバキは各ステージがさほどはなれていないので混雑によるもの以外は快適に移動できていました。ごみの分別もスタッフの人がついていてしっかりしてました。トイレも大混雑することはなくて、不便を感じることはあまりありませんでした。昨年も参加した人によると相当増えたようですが、見たステージも関係しているのか大混雑で大変ということはなく、他のはてなの方のところで書かれていたように縮小版ライジングサン、というイメージでした。