Flora(初回限定盤)(DVD付)

Flora(初回限定盤)(DVD付)

どんぴしゃな時期は過ぎてしまったせいか、アートの曲を聞くと自動的にうすら笑いを浮かべてしまうという、奇妙な条件反射が出てしまうようで、今回もまた例外ではありませんでした。以前より優しくなっていて、もっと装飾がほどこされているのかなと思っていたのですが、過度にはなりすぎずバンドの色を引き出していて、木下さんの声にひやひやしながらも比較的穏やかなまなざしを感じることができました。
せっかくなので全体的に浮かんだイメージを記しておきます。アートは同じところをぐるぐると回っているように見えて、角度を変えると実は螺旋階段を上がっているかのように少しずつ上に向かっている、そんな映像が浮かびました。左右ではなく上下の移動で、その円はきっちりと計算された同じ大きさの場合もあるし、小さかったり大きかったりまちまちだったりすることもあって、だからいくつも共通点が出てくる。というのが一度聞いてみての印象でした。
何度か聞いているうちに続きが浮かんできて、ある一定のところまでいくとそれ以上上には行けなくなって、その時になって初めて片足に紐のようなものがくくりつけられていることに気がついて、あ、と思った時には一瞬で地面に落とされていました。どれだけ時間をかけてゆっくりのぼったとしても落ちるのは瞬間的で、それなのに落ちていく姿は格好悪くも美しいものでした。そして再び、何事もなかったかのようにゆっくりと円を描いて上にいく、という業さえ感じさせるサイクルが頭の中に展開されていました。気取った言い方をすれば、あのイカロスさんみたいにとける翼も持たせてもらえず、土まみれになっても気絶することさえ許されず、だからこそとても人間らしいと感じる。意外にしぶといところもなんだかんだで気になる要因なのでしょう。
ちなみに抽選は、はずれるだろうなと思って引いたら見事白い玉を引いて外れたので、しばらく生の音は聞けないようです。