ラーメンズ第16回公演『TEXT』

行きたいけれど当日券並んでも見られないだろうなあ、ということで気持ちをどこかへ置いてやりすごしてきた二月上旬。本公演が始まった、という意識はまったくなくて、会場が本多ではないということもあっていざ銀河に着いても高揚感がわいてきたりすることはありませんでしたが、座席に座って大きく空気を吸い込んでみると、ああそうかと次第に高まってくる気持ちがありました。詳しい内容についてはあまり触れませんが、一応閉じます。


そんな楽しそうな遊び、先にやらないで! というたくさんの言葉遊び。つないだりくだいたりちぎったりしていて、文字が単語となり、変換されて様々な意味を作り出していく。暇な時についつい言葉遊びをしてしまう私としてはわくわくする内容ばかりで、これからやろうと思っていた遊びをやられてまって悔しい気持ちもありました。
それだけではなく今までのラーメンズの要素もあちこちに含まれていて、知っている人も知らない人も楽しめる、噛み砕くのに時間がかかるものもありましたがさすがの「もう一度見たい!」と思わせるかけひきで、厳しい人は過去の焼き直しだと言ってしまうのかなあ、と感じながらも「TEXT」としては初めて見る内容なので、頭を回転させるのがたいへんでした。目の前で展開されていく話と、少し前に出てきた単語と、それに関連するようなものと、それぞれ引き出すスピードが追いつかなくて、待って待ってと頭をフル回転しては本公演の楽しさを十二分に味わいました。
そして最後のコントでは、さすが小賢しいという単語を持つ小林さんならではのもので、示唆するものがたくさんあって、含みを持つものもいくつもあって解釈する楽しみが散りばめられていました。ラストのコントを見る時に感じる切なさがストーリーによって余計に強調されていて、余韻が上手く残る、気持ちをつかまれるものでした。
斬新な仕掛けがあったり目新しい要素があったりするわけではありませんでしたが、見に行って良かったです。そしてもう一度すべてをわかった上で見てみたい、と思わせてくれる舞台でした。