Talk Amongst the Trees

Talk Amongst the Trees

こういう音を聞いていると、表現をつかみかねてしまうようです。明確なはずなのに曖昧で、うまくはぐらかされてしまいました。最近意識的に聞くようにしている音の系統として、あるシーンや情景を描いているようなものが多いのですが、それは実在しているものなのか、あるいは頭の中にのみ存在しているものなのか、違うはずなのに混同してしまいました。それに加えて風景を描くことに関しても、そこにあるものをかたどって音で奏でているのか、音を紡いでいたら編み物のように景色が出来上がって浮かび上がってきたのか、という違いもあって、どれが優れているということもなく本当のところは作った本人にさえわからないかもしれないので取るに足らないことなのかもしれませんが、自分の中で浮かんでくるイメージの違いを整理したくなって、ついつい考え込んでしまいました。ということでこのアルバムを聞いた印象は、既にある風景のイメージを視覚もしくは脳に取り込んでフィルターにかけてから音にしていったようで、一つ一つの曲に小さなドラマがいくつも詰め込まれていて、ひやりとする冷たさを抱えながらも美しさをたたえていました。曲を聞いていくつもの風景が浮かんでくるのはメレンゲなので、彼らの音楽はどれだろうかと考えてみたものの、それぞれの中間なのかもしれないという逃げの結論でお茶をにごしておきました。