Fantastic

Fantastic

寝かせておいたのでそろそろ大丈夫かな、とそろそろとホイールを回して音を流してみたら、むわっとこみあげてくるのは名前の知らないいつかのにおいたち。むせかえるほどの香りは麝香のようで、幻覚ではなく幻香を感じてしまいました。その原因は初めて見たライブにおいて味わってしまった前の女の人のきつい香水のにおいだったのですが、曲のイメージとなぜか調和してしまって、幻惑の世界へといざなわれていました。左右に静と動の鍵盤がいて魅惑的なベースがいて、そのステージでは完結したものが描かれすぎていたのでものすごくひきつけられるということはなかったのですが、多少落ち着いた状態でにおいのことをさておいて聞いてみると、鮮やかなように見えて鈍色、澄んでいるように見えて実はにごっているのでその奥に沈んでいるものが何なのか、身を沈めなければわからない深さとどろどろとした生臭さを感じました。ちょっと笑ってしまうような曲もありましたが、しばらく聞いていると幻香にくるまれてしまったので振り払うのに必死でした。あの香りは一体どこに存在しているのでしょうか。