THE ALBUM LEAF JAPAN TOUR

到着するまで色々ありましたが、そんなことをすっかり忘れてしまうぐらいのことが我が身に降りかかってきました。メモというよりもこれは体験記と言った方がふさわしいかもしれません。


PARA
メインまでまだ時間があるせいか、フロアは後方は割と空きぎみ。どんな音楽なのかまったく知らなかったのですが、インストで同じフレーズを何度も重ねていってだんだんと世界を広げていくような、一つ一つの曲が長くぐるぐるとするようなものでした。ROVOの山本さんがいるとはつゆ知らず、ふんふんとリズムを聞きながらメロディーラインがなぜだか昔っぽいなあと感じたりしました。


THE ALBUM LEAF
音と感情が共鳴する、共振するかのようで、鳥肌がずっと立ちっぱなし、慣れるまでとめどなく涙が流れてきてしまって、今まで泣きそうになったことは何度かあったのですが我慢してもしきれないほどあふれてきてしまったのは初めてでした。一つ一つの音が好みすぎて、旋律があまりにも美しすぎて、息をのんでものみきれず、下唇を噛んでも噛みきれず、涙が止まらない上に鼻水がずるずる出てきてしまって後に肌が乾燥してかっさかさ。呆然となるのでも立っていられないぐらいの衝撃を受けるのでもなく、無意識の奥底をくすぐられる、くすぶられるような感じがありました。なすすべがまるでなくて、次から次へとたまらない音が流れ込んでくるものだから、思わず耳を塞ぎたくなってしまうほど。音源で聞いていた時よりいっそう、「もうやめて!」と言いたくなりました。ライブ前はまどろみながら聞いたら心地良いのだろうな、と想像していたのですが実際に生の音を聞いてみたら眠くなるどころか涙を流しすぎて目が痛くなってしまうほどでした。この感覚をどう形容したら良いものかと探って出てきたものは、エヴァの弐拾弐話「せめて、人間らしく」においてアスカが精神攻撃を受けている時の情景だったのですが、果たしてそれが合っているかどうかは疑問です。
現実的なメモをしておくと、PARAの時もバックスクリーンに幾何学模様を中心としたイメージフィルムのような映像が流れていたのですが、彼らのライブ中も曲の世界に合った映像が流れていて、全体的に暗いものが多かったものの世界がより一層深みを増してとても良かったです。誰がどの楽器、という振り分けではなくてそれぞれがオールマイティーに曲によって使う機材を変えていて、時にシルエットとなりながら幻想的な空間をひたすら作り出していました。鍵盤から鳴らされる音も好みで生のバイオリンの音もふるえるぐらい美しかったのですが、歯切れの良いドラムの音も結構好みでした。また、弦で鉄琴らしきものの端っこをこすって出した音もとてもきれいで、ああ、ああと目からはまたも止まらないものがあふれてきました。
決して動揺したわけではないのですが、まさか音楽でここまで涙を流すとは思ってもみなかったので自分でもびっくりしてしまいました。彼らの紡ぐ音とその世界が自分が求めていたものとぴったりしすぎたためか、頭の中に別のイメージがわくこともなく、ただただその音にふるえるばかり。初体験だったからそうなっただけなのかもしれませんが、次回のライブにも絶対に行こうと強く決心しました。


本当ならば日曜に二つのライブのどちらかへ行こうと思っていて迷って迷ってどうしようかと贅沢な悩みを抱えていたのですが、しばらくこの音を、この感覚を身体の中にとどめておきたいと思ってしまったので、すっぱりとあきらめることにしました。あんなにも美しい世界で味わった感覚を、まだ逃したくありません。