Breezin’

Breezin’

アルバムを味わう前に、まずはその過程から。音があっちこっちへ散らばっていてもしっかりと収束していくので、おもしろいなあというのが第一印象でした。ぶつ切りになっていたり無機質だったりしてその色も様々で統一感がないようなのに、なぜだかしっくりきていて、点描画のイメージがわいてきました。ある一点一点は一つの世界として独立しているのに、それらがより集まっていくと別の意味のある画を浮かび上がらせていたり、その逆として一つのものをよく見てみたら実はバラバラの集合体だった、というようなもので、紐解くのも流されるのも興味深いものでした。
そして四曲目の、どこかの民族の鐘のような、心が安らぐような音がしゃらしゃらからからと鳴っているものはどこまでが計算でどこまでが自然なのかわからなくて、でもこういう音は生で聞いて空気ごと味わって、そよぐ風や反響するものも一緒に楽しみたいなあ、とうたた寝しながら聞いている人を思い浮かべていたらイヤフォンを乗り越えて別の音が進入してきて、あらと横を見たらお兄さん。どこかで聞いたことのあるような気がして耳をすませてみても思い出せず、ギターポップっぽくて声にも聞き覚えがあるのに誰だかわからなくてもやもやしてしまいました。ポップンミュージックメガネロックに少し似ているかな、とも思ったのですが、それは系統として似ていると感じただけかもしれないので、実際彼が何の曲を聞いていたのかはわからずじまいでした。