ROCK IN JAPAN FES.2006

昨日の教訓を生かして予定通りの電車に乗って、人の波に飲み込まれてバスで会場へ。今日も今日で電車の中から見た緑の美しい景色に心奪われて、スッと見えた看板に「偕楽園」と書いてあったのでこのまま降りてしまいたい、という気持ちが起こりかけましたが今度ゆっくり来ようと本来の目的を思い出して我慢しました。

スネオヘアーフラワーカンパニーズ→(曽我部恵一BAND)→キャプテンストライダムDOPING PANDAVOLA&THE ORIENTAL MACHINE→(POLYSICS)→(梅垣義明/猫ひろし/マキタスポーツ)→→(ohana)→the ARROWS→(矢野顕子 featuring レイ・ハラカミ)→ART-SCHOOL→(グレートマエカワ)→矢沢永吉




スネオヘアー
そうかレイクってそっちのレイクか! MCも絶好調のスネオさん、とても楽しそうでシニカルな笑いも沢山の拍手に包まれて奥にある優しさをちらっと感じられました。最後まで聞きたかったものの、次があるので少し聞いてフォレストへと向かいました。


フラワーカンパニーズ
この人たちはなぜこうにも人の心に踏み込んでかき乱して、汗をかいて自分が人間であるということを思い知らせてくれるのでしょう。熱くて男くさいところもあると同時に繊細さも持ちえていて、その上演奏はしっかりと積み重ねられたものがあるから決してぶれることはなく直球に訴えかけてくるものがありました。楽しい、けれど切ない。「深夜高速」を聞いていたら足が震えかけてしまって、色々とこらえるのに必死でした。MCも笑ってしまったし「真冬の盆踊り」でみんな手を挙げて踊るのも楽しかったのですが、シンプルであるが故に音に込められた正直な感情が重くて、泣き笑いのような気持ちになってしまいました。
しびれました。


テントで少し休みながら曽我部さんの歌声に耳を傾けていたらちょうど「ジュークボックス・ブルース」を歌っていて、TELEと続ける「テレフォン・ラブ」はまだなのかな、と思いながらウィングテントに向けて歩き出したら聞こえてきた音がまさにそれ。コールアンドレスポンスを声だけ聞きながら、きっと楽しそうだろうなと想像して手拍子をなぞってみました。


キャプテンストライダム
後ろの方まで人がたくさん入っていて、予想外の人気に少し驚きました。サポートを入れた今の編成になってから聞くのが初めてだったせいか、ちょっと違和感があって音も後ろだったせいか少しかみ合っていないように聞こえてしまったのが残念でした。それでも「キミトベ」も「マウンテン・ア・ゴーゴー」も聞けたので満足です。



DOPING PANDA

キャプストとボラとかぶっていたので見られなくてもライジングサンがあるから諦めようとしていたのですが、キャプストが思いのほか早く終わったので、テントを出てみたらちょうど始まるところですかさず早歩きをしてしまいました。
ああ、ああ、とそろそろ抜けよう抜けようと思うのに身体を動かされてしまう音が鳴らされるものだから大きな移動ができなくなってしまって非常に困りました。踊っている人がほとんどで、上からの方がステージをよく見られることはわかっていたものの、これは中に入らないと楽しさがわからないと思ってしばらく不器用な踊りのようなものをしてしまいました。手拍子もたくさんやって、MCも相変わらずロックスターな感じでした。覚悟を決めて上にのぼってみたら「The Fire」が始まってしまったのですが、少し揺れながら聞いた後、後ろ髪を引かれても断ち切って森の方へと向かいました。


VOLA&THE ORIENTAL MACHINE
久しぶりのボラは相変わらず珍妙でベースラインもぞくぞくきて、それに加えて馴染みやすくもなっていました。思っていたよりも人が少なく、癖があるせいか途中で抜ける人も多かったのですが、その癖が別の意味においての癖となってしまうと二度三度と聞いて虜になってしまうようで、たまにものすごく聞きたくなりそうです。そしてL・O・V・Eはやっぱり楽しかったです。


テントに戻ると聞こえてきたのはポリ、救急車のサイレン。でもそれに反応してしまって吸い寄せられたら終わりだとわかっていたのでなるべく意識しないようにして歩いて歩いてグラスの方へ。すると関係者以外立ち入り禁止の道を赤と白の袴姿で颯爽と歩く東京ダイナマイトらしき二人の後姿が見えて、今年の野音ライブが旅団のインストアライブとかぶってまだ迷っていることもあって、すかさずDJブースへと向かいました。
けれど押しているのか、テントからあぶれるぐらいの人の視線を集めていたのは梅ちゃんこと梅垣義明さんでした。豆を飛ばして大盛り上がりした後、特別ゲストとしてステージに登場したのは猫ひろし。男の人の歓声がものすごかったです。ネタに関してはいつものようなもので、最後はパンツを何枚も脱いで投げていました。そして次には永ちゃんのコスプレをしたマキタスポーツで、物真似カラオケなのにこれまた大盛り上がり。男子校的ノリとでも言うのか、その熱気がおもしろかったです。ふと見たら関係者スペースらしきところにドーパンのハヤトさんらしき人がいて、男前だなあと当たり前の感想を抱いたりもしました。

長居するわけにもいかないのでレイクに戻ってちらっとだけohanaを見て、ステージの豪華さに驚きながら、いけないいけないテントへ行かなくちゃと勇気を振り絞って背を向けました。


the ARROWS
JIVE JIVE→ナイトコール→Oh!baby→恋する摩天楼→ロックンロールダンシングガール
場所はカウントダウンの時と同じように、柵の真ん中でじっくりと。開始時間より少し早めに登場して、みんな最初からテンションが高かったです。ohanaがまだやっているからなのかまだ大分スペースに余裕がありましたが、そんなことなんて気にならない旋律が鳴らされ始めたので余計な感覚はシャットアウト。
最初はゆらゆらしていた人がだんだんとステップを踏むようになって楽しそうに手拍子をしているのを見てこちらまで嬉しくなってきたり、振り向いて後ろを確認するたびに人が増えていて踊る人もたくさんいたのでもっと嬉しくなったり、左右にゆらゆらゆれながら私も少しばかり踊りました。
選曲はダンスの部分をぎゅっと凝縮したようでテント内もだいぶくもっていました。持ち時間が少なかったせいもあるのかもしれませんが、「プレイボーイは憂いボーイ」をやらなかったのが意外です。「恋する摩天楼」でリュウジさんがジャケットを脱いでシャツのボタンをはずしてはだけてみたり、ラストはキャンディさんを踏みつけたり、やたらとあつかったです。でも踊りだす人たちを見ながら、単なるダンスミュージックではなくきちんとした世界観を持った、もっと聞かせる曲もありますよ!と心の中で静かに叫んだりもしました。そんなことを感じながらも単なる感想としては「楽しかった」の一言に尽きます。初めて見たけれど良かったと言っている人もいておもわずニヤニヤ。人は満員とまではいきませんでしたがみんな思い思いに体を動かしていて、良い空間でした。


昼兼夜ごはんを食べながら矢野さんを見て、レイ・ハラカミさんと一緒なのでかなり気になったのですが究極の二択から目を逸らすわけにもいかないので、葛藤を抱えながらテントではなく森の方へ足を向けました。つばきも見たかったけれど、この前ライブに行けなかったのでアートを選びました。


ART-SCHOOL
裏が裏なせいか、人がかなり少なくてびっくり。始まっても人がまばらで、ステージはよく見えました。そしてステージを見ながらも気になってしまうのはそこへ視線を向ける女の子たちのことで、ついつい彼女たちのことを思ってしまって揺れる宇野さんのROCK STAR Tシャツを横目に別のことを考えてしまいそうでした。
途中木下さんがメンバーに何事かをささやいて、スタッフにもささやいていたので曲順の変更でもあったのかと思っていたのですが、MCにて最後の曲にはゲストが来ると言って、誰だろうかと幾人か思い浮かべました。五十嵐さんはさすがに来ないだろうな、志村さんはもう帰っているだろうな、ベースが二本なんてこともないだろうし、だとしたら、と結論が出た頃に流れてきたのは「あと10秒で」の音。
メンバーが何かしらたくらんでいる顔をして、ステージ脇の方を見てはニヤニヤしていて、なんとギターでドーパンの曲を弾き出してドラムも入って、紹介されて出てきたのがロックスター! Tシャツに短パンという完全にオフモードなスターはステージ脇で見ていたらしく、飲んでいて上機嫌なもののいったん演奏を止めさせて挨拶がわりの軽いMCのようなものをしてくれました。ここでドーパンの曲やったらおもしろいだろうなと思っていたらその逆で、こういうのがフェスだよねと言ってスターが「あと10秒で」を歌うことに。木下さんがいつも見ているカンペをひっぺがしてスタート。
キーが低いのか最初は少し歌いにくそうでしたが、声が違うと曲から受ける印象も違ってきて、ノリも随分と違っていてアートらしからぬ盛りあがりでした。ドーパンのライブに木下さんがやってきたと以前どなたかのレポートで見てまさかまさかと思っていたのでおもしろいものを見させてもらいました。一番だけ歌って後は木下さんに引き継いだのですが、スターが出たことによって素直に楽しくなってしまいました。


CHARAのレイクはドーパンの時以上に人であふれていて、少し歩いて回って見てもなかなかステージ上が見にくい状態でした。キュートな歌声に耳を澄ませながら、ソイルどうしようか迷ってテントに戻ったら予定変更、観覧車に乗ることにしました。
ゆっくりあがっていって人が次第に小さくなっていって、風が強いせいかぐらぐら揺れて不安定で、あれ観覧車ってこんなに恐かったっけと思うぐらい小心者になってしまいました。上から見るとステージの位置がよくわかって、海の近さも実感できました。永ちゃんのファンの方々の撮影会などもよく見えて、動線を読み取ってふむふむと頷いてみたり、恐いながらも面白かったです。ただソイルを見なかったのは心残りとなっています。レイクのトリのバインについては、初めて見るライブはワンマンにしようと決めているので我慢がまん。


みなと屋へ行くとそこにいたのはやはりアヒトさん、相当酔っ払っているようでした。そんなアヒトさんを見た時に朝からずっと湿布を貼りっぱなしだったことに気がついておもむろにはがしました。みなとやの食べ物はほとんど売り切れになっていたのであきらめてDJブースに戻ると結構押しているのかフラカンのグレートマエカワさんがいました。一回通った時も私たち世代にもわかるぐらいの歌謡曲が流されて楽しくて、テントからあぶれにあぶれた人たちがやたら楽しそうに身体を動かしていました。すぐに終わってしまったのですが、ラストはラジオ体操第二で、筋肉を伸ばすのが気持ちよかったです。彼のDJと言うかパフォーマンスタイムはとても楽しそうなので、今度また見てみたいです。


矢沢永吉
一つ一つの所作が様になっていて、たまらない色気を持つ人でした。男の人、男、漢、紳士、そのどれもが当てはまって、これが本当のロックスターなのか、と繊細そうな昼のロックスターのことを思いながら彼の持つ色気にくらくらとやられてしまいそうでした。懐の深さ、味わい深さ、思慮深さ、でも深くても受け口は広いので知らない曲でもスタンドマイク裁きにぼーっと見とれてしまったり歌にひきつけられたりもしました。「When You Wish Upon a Star(星に願いを)」は本当に格好良かったです。
最後まで見たかったのですがバスが心配だったので途中で抜けると、少し面白いものを見ることができました。スタンディングゾーンの一番前は正真正銘の永ちゃんファンで何事もわきまえている様子、それより後は時々タオルを投げたりしている、さらに後ろの方になるとタオルを振り回している、という曲が変わったせいなのかもしれませんが、反応の違いがあったのが興味深くもありました。


テントを畳んでいると花火が上がったので、大急ぎで片付けてバス乗り場へと向かって、列に並んで並んでドキドキしながらバスに乗って、状況が違っても結果として昨日と同じ電車に同じように全速力で走ってぎりぎりに乗車していました。またも揺られて二時間半。昨日と同様に地元のツタヤへ行ったらあれもこれも見たいものばかりレンタル解禁となっていて、音楽欲が満たされたせいか今度は映画欲が高まってしまいました。
もしかしたら来年は行かないかもしれないから全体としても色々見ておこうと思ったものの、グラスステージ周辺をあまり散策していないのでよくわかっていないままです。四つのステージの中で一番好きだなと思ったのは、そこで演奏したアーティストの傾向も頭に入っているのかもしれませんが、木々に囲まれたフォレストでした。砂埃は気になるもののゆるく傾斜がついているので見やすく、木陰があるのでそこにねっころがりながら聞くこともできて屋外の良さをいくつも感じました。
日帰りだったせいかいまいち非日常を感じられなかったので、もし次来るとしたら泊まりの方が良いかもしれません。ということでさらっとした当日のメモでした。