「森達也TV WORKSドキュメンタリー」*3『職業欄はエスパー』

流れてきたのは「NONFIX」、音が割れて声がかなり聞きにくかったのが難点でした。集中力を持ってしても割れた音を聞き取ることができなくて、せっかく劇場で上映するのだからもう少し何とかしてもらいたかったです。
森達也さんの作品は対象に対して客観さを徹底しながらも自分の意見も入れ、どちらの味方にもならないようにしながらも揺れているような部分が見えるところがとても好きです。『A』に関してもそうですし、今回の作品についても彼がエスパーを信じるのかUFOの存在を認めるのか、気にしながら見ていました。
一つとても驚いたことがあってなかなかここに記すことができませんでした。エスパーの一人である秋山眞人さんが最初にいた場所に見覚えがあり、まさかと思って次のところへ移動したら予感は確信へと変わりました。最初にいたのは家から一番近い神社で、私にとっても少し思い入れのある場所。小さなところで閑散としている神社に秋山さんはいて、高い高い木の先が折れ曲がっているのは何かのパワーがゆがんでいるから、というようなことを説明されていました。そして移動した先は駅まで行くのに自転車でほとんど毎日通る、以前から怪しい怪しいうさんくさいと思っていながらも一度も足を踏み入れたことのない健康プラザでした。
それまで客観的に見られていたはずなのに、自分の身近にあるものが出てきたせいでどうすれば良いのかわからなくなってしまい、あの中はあんな風になっているんだと妙に冷静になりながらも、あまりあれこれ思ったりはできませんでした。
超能力というものはあるかもしれないけれど、最後の方で出てきたUFOや宇宙人の話は信じられない、というのが森さんのスタンス。相手が森さんだから見たと言った清田さんが「実際に見なければ信じなくて良い」と言ったところがやけにリアルで、そういう微妙な言葉を引き出してしまうのも彼の魅力なのだと感じました。
時間がなくて他の作品を見に行くことはできませんが、また森さんの作品が上映されるのならば足を運びたいです。もしくはテレビで是非、再放送してもらいたいです。