「HEDWIG AND THE ANGRY INCH」

キャンセル待ちでなんとか見ることができました。関係者席近くで舞台との距離がちょうど良いぐらい、期待しすぎるとまずいと思いつつ、不安も交えながら開演を待ちました。
演劇というよりもショー、ショーというよりもライブ、そしてやっぱりミュージカル。流れるように曲が次々と演奏されていくのですが、きちんと話の筋が通っていて、映画から入った私もすんなりと世界へ入っていけました。日本語の歌詞については最初少し抵抗があったものの、今までサントラで聞いていた曲がライブで流れてきてちょっと泣きそうになったりして、ぐいぐいと引き込まれてしまいました。三上さんがヘドウィグをやると聞いてちょっと「うーん」という気持ちもあったのですが、見てみたらそんなもやもやも吹っ飛んでしまいました。
パンフレットに書いてあったように、ジョンキャメロンミッチェルがステージで演じていたヘドウィグも映画のヘドウィグも日本版舞台のヘドウィグも別人。彼女は毎回毎回違っていて、お客さんのノリによっても違っていくのでしょう。のっけから立ち上がってノリノリになる人や途中「WIG IN A BOX」をみんなで歌うところ、「SUGAR DADDY」で客席を回りサービスをするところ(今回は陣内孝則さんで、後にもちょこちょこネタにされていました)、それぞれに楽しめて、ただ静かに座っているだけではなく手を叩いたり歌ったりすることで参加するところに一体感を覚えました。
最後の方で我慢していたものがぽろっと剥がれてしまってつい涙がこぼれてしまって、ぼーっとしながらも世界に浸っていました。映画では暗示的にしかわからなかったラストが、舞台ではもう少しはっきりと描かれていて、ラブストーリーとして完成している作品となっていました。ヘドウィグ側からしか語られていなかった世界の向こう側、彼女の片割れから見た世界がちらりと見えた気がして、音楽という武器をもった彼らが通じ合うのはやっぱり音楽なのだなあとしんみり。
パンフにも書いてあったみたいに、パルコ劇場であれほどの爆音をならした舞台がかつてあったのだろうか、と思えるぐらいの轟音が流れてきて胸に直接響いてくるものがありました。アンコールではスタンディングオベーションで何回も三上さんを呼び寄せて舞台の余韻にひたっていました。やっぱりライブ感が非常に強いので、ZEPPでのも参加したくなってきました。しかしZEPPで土日は一回きり、当日券を取るのは非常に厳しそうです。