Nathalie Wise Live Tour 2004‘raise hands high’(→)


M1.春の嵐
M2.残された海に
M3.雨
M4.ロードマンはいつ眠る
M5.TIME WAVE ZERO
M6.No Signal
M7.raise hands high
EC1.風越し
EC2.美しい夜

今まで見てきたライブの中でもっともゆるやかな世界。年齢層も高く、こぶしを突き上げることもなく、満員電車のような感覚もなく、はじめからおわりまで彼等の世界に浸りきっていた。ずっと生で聞きたかった曲もあり、組曲のように繋げていくところもあり、目をつむっていても何かが浮かび上がってくるかのようだった。普段は温度が上がりっぱなしの場所が、時には静寂に包まれていた。誰もが音を楽しみ、味わっていた。
大阪と東京で計二日間しかやらないのはもったいないと思えるくらい充実したもので、だから余計に贅沢なものを見させてもらったのだと実感。先週のクイックジャパンのイベントでは異質にも見えたけれど、ワンマンではずっとその世界にいたので、好きなように酔っていられた。声に、ギターに、キーボードに、ドラムに、ベースに、ヴァイオリン。加わる弦楽器や打楽器の音が美しく、鳥の声や潮の音が風景を浮かべさせた。照明による演出も世界を形作るのを助けていて、暗い中、たった一つのライトがこちらを照らしてくるのには舞台を見ているかのような感覚を覚えた。曲がストーリーを持っているのだと改めて感じた。
ぶつかり合いながら汗かいてノリノリになるライブも好きだし、今回のようなゆったりとして曲を味わう余裕のあるライブも好き、になった。幻想的で、言葉の重みがずしんと響いて、楽器の幅広さと美しさを知る。もしかしたら昔では飽きていたかもしれない世界に浸れたことを、一つ歳をとった喜びとした。美しい、とても美しい夜。