羊毛とおはな「こんにちは。」

こんにちは。
中性的な歌声を想像していたら、もっと女の人らしく、少女よりもう少し大人っぽいものでした。音たちはとても優しくて、一緒に遊びたくなるのに声が別の優しさを含んでいるので、何だか誰かに見守られているような気分でした。今日の陽気にも似合って、うつむかないようにくいっと空を見上げたら、青のグラデーションが目に入ってきて完璧な色合いに鳥肌が立ってしまいました。空が夜にうつりかわる、飲み込まれる瞬間を垣間見てしまったかのようで、その時空と向き合っていた人と秘密を共有したくなりました。

松本泰生「東京の階段―都市の「異空間」階段の楽しみ方」

東京の階段―都市の「異空間」階段の楽しみ方
坂道と言えばタモリさんですが、こちらは階段の方。階段そのものだけではなく景観やその周囲のものに関して総合的な評価がされていて、それぞれに星がつけられているのがわかりやすかったです。傾斜が出ているのも興味をそそられて、たくさん紹介されていたところへ行きたくなってしまいました。中でも「日暮里地蔵坂」は京浜東北線に乗っているときに見えて気になっていたので、春になったら散策がてらふらっと迷い込みたいです。

長谷川純子「はずれ姫」

はずれ姫
ふわふわとやわらか、ではなくふわふわしていたらちくちくとした針の痛みが入り込んでいて、官能的な要素も少しまぶしつつ、リアルとファンタジーの間を煙草のけむりでくゆらせるようにゆらゆらただよっていました。決して甘くはない、苦みもあるいくつものおはなし。

いつも見ていた場所に、タロウハナコ! 寒かったので今冬越えられるか密かに心配していたのですが、今日の朝、すれ違う一瞬だけ目に入ってきたタロウハナコは今までと違った姿になって確かに存在していました。土や砂などで毛がすすけて全体的にみすぼらしくなっていたはずなのに、今日は朝日を受けた毛が綺麗な茶色できらきらとしていました。まるで違う犬のようでしたが、長年見続けてきたのでタロウハナコ以外には考えられません。
犬はまだ好きにはなれなくて家にいる犬にも慣れませんが、オスかメスかさえわからないタロウハナコが無事でよかった、と思う気持ちだけは本当です。